かつてインテルでプレーし、2010年にチャンピオンズリーグ優勝など3冠を達成した元アルゼンチン代表FWディエゴ・ミリートが、22日に現役ラストゲームを行った。この一戦を何としてでも見ようとした子供たちの姿が、イタリアメディアで話題となっている。

イタリア『ANSA通信』が報じたのは、ミリートが所属するラシン・クラブの大ファンという10歳の少年、サンチャゴ・フレデスくんのことだ。サンチャゴくんは片足の少年で、松葉杖が欠かせない。その杖を使って、ピッチ脇の高い壁の上から試合を見ていたのだ。そして、隣で試合を見ようとしていた少年にも、片方の松葉杖を貸してあげたのである。


その2人の姿をサンチャゴくんの母親が写真に撮って投稿。すると、これがSNSで話題となった。サンチャゴくんはアルゼンチンメディアで、「ミリートにお別れを言いたかったんだ。僕はいつも試合を見るのに杖に乗るんだよ」と述べている。母親はアルゼンチン『クラリン』で次のように話した。

「彼は一瞬たりともボールを手放さないんです。どこにでも持っていくんですよ。壁が1.6メートルと高いから、いつも杖に乗っているんです。そうしたら、ピッチを見ようと別の子が飛び跳ねていたから、彼が杖を貸してあげたのよ」

「ラシンの試合のときはいつも20人くらいの子供がピッチ脇にいるの。彼らは試合を見ないでパス交換したりすることも多いのよ」

「素晴らしいのは、息子は隣の子の名前も知らなかったということね。子供たちには、別の世界があるのね」

なお、サンチャゴくんはサッカーのほか、テコンドーもやっているそうだ。