昨年のアジア大会では準々決勝で韓国に0-1で敗れ、ベスト8止まりだった手倉森ジャパン(写真)。強豪国に競り勝った経験がない彼らは、漠然と「メダル獲得」を目標に掲げるけど……。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 男子のリオ五輪アジア最終予選の組み合わせ抽選会が12日に行なわれて、日本はグループBでサウジアラビア、北朝鮮、タイと同じグループになったね。
 
 この世代で最強と言われているイラク、それに続く韓国と同組にならなかったこと、その彼らとベスト4まで顔を合わせなくて済むことから、グループ分けに恵まれたという声もあるようだけど、それで五輪に出場する可能性が高まったとは僕には思えない。
 
 サウジアラビアや北朝鮮だって、はっきり言って日本と同レベルか、彼らのほうが少し上かもしれないし、グループリーグを突破したとしても、ベスト8で戦う可能性のあるイラン、カタール、中国といった面々も侮れない。
 
 そしてなにより、リオ五輪への出場枠は「3」しかないんだから、ベスト4や3位決定戦で、イラクや韓国と戦う可能性は高い。結局のところ、遅かれ早かれ強敵と戦わなければならないんだから、日本に本当の実力がなければ、五輪の出場権を獲得することはできないよ。
 
 五輪のアジア予選は近年、ホーム&アウェー方式で行なわれてきたけど、今回はセントラル方式に変更された。つまり、短期決戦の一発勝負という実にシビアな戦いになったということだ。
 
 僕には今のU-22日本代表に、このシビアな短期決戦を勝ち抜くだけのタフさ、勝負強さが備わっているとは思えない。
 
 というのも、このチームは14年1月に行なわれたU-22アジア選手権ではベスト8でイラクに敗れ、同9月に行なわれたアジア大会でもベスト8で韓国に敗れている。強豪に競り勝つ経験も、タフな戦いを勝ち上がっていく経験も積めていないからだ。
 
 しかも、現状では手倉森監督や選手たちが漠然と「メダルを獲りたい」と目標を口にしているだけで、それに相応しい強化ができているとも思えない。
 
 アジア大会では、Jリーグとの兼ね合いで、各チームにひとりという招集制限があり、ベストチームを形成することができなかった。
 
 テストマッチは今年3月にミャンマーと、7月にコスタリカと戦っただけ。試合数自体も少ないし、シビアな大会を勝ち抜くための海外遠征もこなせていない。
 
 本来なら、7月のコスタリカ戦以降、毎月のようにテストマッチを組んでもいいし、8月の東アジアカップだって、U-22代表で臨んでも良かった。
 
 なぜ、真剣に強化をしないのか。これは監督や選手の問題ではなく、日本協会の技術委員会の問題だ。
 
 この年代にはA代表のようなスター選手がいないから、親善試合を組んでも興行としての旨味がないからかな?
 
 12年のロンドン五輪で男子サッカーは4位になった。メダル獲得にあと一歩届かなかったのだから、それ以上の強化をしなければならないのに、テストマッチの数は明らかに減っている。これがメダルを獲得するための本気の強化とは思えない。
 
 最終予選まであと4か月。それまで10月の佐賀合宿と、12月のカタール合宿、石垣島合宿と、3度の合宿で、本当にチーム力はアップできるのか不安でならないよ。