マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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元ソフトバンク、ニコースキー氏が分析「歴代最多安打を記録できたか? 私の答えはイエス」

 マーリンズイチロー外野手は15日(日本時間16日)、敵地でのカージナルス戦に「2番・ライト」で先発出場し、4打数2安打だった。初回の第1打席でライト前ヒットを放ち、メジャー歴代2位の「球聖」タイ・カッブ(通算4191安打)を超える日米通算4192安打。さらにその後もヒットを放ち、今季14度目のマルチヒットで日米通算4193安打とした。

 この「日米通算」はあくまで参考記録という位置付けだが、イチローがメジャーでキャリアをスタートさせていたとしたら、ピート・ローズが持つ通算4256本の最多安打記録更新も可能だったとする意見が地元メディアから出ている。

 日本のみならず、アメリカのベースボールファンも興味を持つ「究極のIF(もし)」に挑むのはFOXスポーツのアナリスト、クリストファー・ニコースキー氏だ。

 かつて1994年にMLBドラフト1巡目全体9位でレッズに指名され、その後タイガースやレンジャーズなどでプレーした左腕。2007、08年とソフトバンクに所属した経験も持つ。カブスの和田毅投手とも親交が厚く、日米の野球に精通しているスペシャリストでもある。メジャーの中継を行う「FOXスポーツ」の電子版で「イチローとその仮定」との特集を組んだ。

 イチローは14日に日米通算4191安打を記録し、カッブの通算安打記録に並んだ。これを受け、同氏はメジャー記録と日米通算記録を同じカテゴリーで語ることは「馬鹿げている。特筆に値するが、そこまでだ」と指摘しながらも、「より興味深く、抗いがたい議論がここに存在する。イチローはキャリアの全てをMLBでプレーしたら、歴代最多安打を記録できただろうか? 私の答えはイエスである」としている。

イチローは今後どこまで記録を伸ばすのか、ニコースキー氏の分析では…

 同氏が着目するのは、イチローのプロ3年目だ。オリックス時代の1994年に616打席に立ち、打率.385。オリックスで過ごした9シーズンの中で、この年の打席数が最多だった。一方、記事では、イチローの渡米後最初の8年間の平均打席数が741打席であり、オリックスの1軍に定着した7年間の平均打席数より180打席も多いデータを紹介している。

イチローが20歳のシーズンに日本同様にメジャーでレギュラーだったとしたら、(カッブの記録に並んだ)金曜日の夜にピート・ローズに並ぶためには最初の7年間で平均191安打を記録する必要があった。イチローは2001年から07年、MLBの最初の7シーズンで年間227安打を記録している。もしも、メジャーの監督もイチローの規格外のスイングを好まず、もう1年(メジャーデビューまで)待たなければいけなかったとすれば? その時はイチローは21歳から26歳の間に平均223安打を必要とする。これも、彼が実際に達成した数字よりも依然として少ない」

 ニコースキー氏は記事の中でそう言及。試合数の多いメジャーでプレーしていたのなら、通算の安打数は増えていたというのが同氏の推論だ。さらに「ピート・ローズは45歳までプレーした。イチローは現在41歳だ。彼のコンディショニングと準備は伝説的だ。もしも、彼が望むなら、あと4、5年はプレーするだろう。彼はキャリアの全てをアメリカでプレーしていたのなら、ローズを超えていただろう」と断言している。

 ただ実際にはイチローはオリックスで9シーズンを過ごしてメジャーに挑戦。日本で1278本、そしてメジャー2915本のヒットを積み上げた。では、ニコースキー氏はイチローが今後、通算安打でどの領域まで到達すると見ているのか。

「彼は驚嘆すべきキャリアを送る、殿堂入りする選手である。アメリカでキャリアをスタートさせていれば最高だったが、彼はそうではなかった。現在通算ヒット数で38位。27歳でMLBデビューを飾ったことを考えれば、驚きに値する。デイブ・ウィンフィールド(3110)の持つトップ20に食い込むか、もしかすると15位(カル・リプケンの3184安打)が彼の運命になりそうだ」

 同氏はそう分析。41歳になってなおトップクラスのコンディションを維持するレジェンドはさらに200本程度のヒットを記録すると見ている。