ストレートで押し通し、九産大九州を完封した本格派・濱地真澄の魅力と将来に迫る!

 名門校同士の対決。お互い投手力も高く、接戦になると予想されたが、九産大九州を抑える快投を見せた福岡大大濠・濱地 真澄(2年・右投げ右打ち・183センチ82キロ)が想像以上に素晴らしい投手であった。同校は9人のプロ野球選手を輩出しているが、比較対象としては大石 達也(早大-埼玉西武)になっていくのではないだろうか。

 濱地は、大石同様、ストレートの質が素晴らしいのだ。ストレートのスピードは常時135キロ〜139キロと突出としたスピードがあるわけではないが、手元まで全く失速しないので、多くの打者が差し込まれている。みれば、ほとんどが振り遅れの打球ばかり。しっかりと捉えた打球が殆どなかった。

 その球質を生み出しているのはフォームの良さである。ワインドアップから始動し、左足をバランス良く上げていき、右足はしっかりとバランス良く立つ。左足を遊撃方向へ伸ばしていきながら着地し、左腕のグラブをやや下げたところから開くので、やや見やすくなっているのが気になるが、トップに入ってからリリースに入るまでの動作が素晴らしく、テイクバックの大きさを見ると可動域の広さが感じられ、そして胸をしっかりと張って、打者寄りでリリース。指先でしっかりと力を伝えて腕を振ることができているのだ、ストレートをピンポイントに投げ分けができるのだ。肩、肘の柔らかさだけではなく、下半身の強さと股関節も柔軟もある選手だろう。今後もこのバランスの良さ、関節の柔軟性を維持しつつ、ストレートもさらにボリュームアップすれば、さらに打たれにくいストレートになるだろう。

 変化球もスライダー、カーブ、チェンジアップをな分ける。突出としたキレを誇るわけではないが、ストライクにしっかりと投げ分けられる精度の高さがある。

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  初回、2回と無失点に切り抜けた濱地を援護しようと、2回裏、福岡大大濠は、一死一、三塁から8番高田のスクイズで1点を先制。

 その後、対する九産大九州の岩田 将貴も、変幻自在の投球で福岡大大濠打線を凌ぐ。左サイドから投げ込む速球は常時120キロ〜125キロと速くないが、微妙に動かしたり、スライダー、カーブ、ツーシームなどボールを動かしながら、投球を展開。テンポよくストライク先行ができる投手で、優位に投球を組む立てるができる投手で、見ていて心地が良い。さすが百戦錬磨の技巧派左腕というべき投球であった。

 その岩田から貴重な追加点を奪ったのは、濱地であった。5回裏、濱地がレフトスタンドへ飛び込む豪快なソロ本塁打。まさに濱地の独り舞台である。濱地は終盤になっても球威、コントロールが衰えることはなかった。特に素晴らしいのは左打者の内角へ狙い通りに投げられること。このコースに来て、振り遅れの打球が多く目立った。

 そのまま試合は進み、9回表、濱地は三者凡退に打ち取り、3安打完封。三塁さえも踏ませない圧巻の投球であった。 ストレートのスピード、伸び、コントロール、変化球の精度ともに高レベルで、さらに伸びていく奥行きがある。このままいけば、来年のドラフト候補になる投手であろう。タイプ的には上沢 直之 (北海道日本ハムファイターズ)を彷彿とさせる怪腕であった。骨太の体格、肩肘の可動域の広さを存分に生かした縦の角度で勝負する姿はまさに上沢と似ているのだ。

 この勝利が濱地にとっては大きなステップアップのきっかけになるかもしれない。来年の福岡県を代表する可能性を持った逸材として、これからも注目し続けていきたい。

(文=河嶋 宗一)

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