宮崎駿はやっぱり映画をつくりたいのだ(確信)江戸川乱歩『幽霊塔』が凄い
江戸川乱歩『幽霊塔』が出た。
「カラー口絵 宮崎駿」とあるので、挿絵が何枚かあるのかなと思って本を開いたら。
そんなもんじゃなかった。
漫画、断面図、絵コンテまであるとは!
本を開くと、カラー解説漫画「ぼくの幽霊塔」がいきなり出てくる。
少年時代の宮崎駿が貸本屋で『幽霊塔』と出会い夢中になる様子が描かれる。
“幽霊塔のロマンスにあこがれ歯車にあこがれた”というエピソードをはさんで、大人の宮崎駿が登場。
「それで次の展示は江戸川乱歩の幽霊塔でいこうと思う」と叫ぶ。
脈絡のない唐突な発言に戸惑うみんなを置いてけぼりにしたまま、
「ホールにでっかい塔をたてるんだスゴイぞ」
「中に入れるんだこわいぞ」
「地下にひろがる大迷宮をつくるのだ」
「だれも出られないのだ コマルゾ」
と大興奮。
どれだけ少年時代の夢中さを維持しているのか。
(ジブリ美術館「幽霊塔へようこそ展」)
さらに「乱歩の幽霊塔」の断面図解。
「思い込みの幽霊塔」イラストも凄い。
ああ、アニメーションで観たいと思ってるところに、
「映画にするならこの位の方がイイと思う」というセリフ。
おおおおおお!
「えいがつくるの?」
「えいがはつくりません」というツッコミがコマ外に書いてあるけれど、観たいです。
ここまでで4ページ。
めちゃくちゃ詰め込まれて読み応えじゅうぶん。
さらに「幽霊塔各層断面図」が1ページ。
「時鐘」「時計機関部」「塔部」「居住部」の各層の断面図と解説だ。
続いて「乱歩少年幽霊塔に会う」。
江戸川乱歩が『幽霊塔』に夢中になる様子を描いた漫画だ。
で、乱歩が夢中になった黒岩涙香版の『幽霊塔』について。
そして原作「灰色の女」の表紙絵イメージと、原作版の時計塔ローンアベイ館のイラスト(断面図も!)。
「幽霊塔と灰色の女」と題されたページでは、黒岩涙香と江戸川乱歩が、どのように原作をアレンジしたのかを解説。
財宝の部屋を、涙香は地下に移し、財宝を増量。乱歩は、地下の大迷宮にした。
そして12ページ目。
「主人公の青年とヒロインの出会いはとても大切です 乱歩本と灰色の女のちがいはコンテにするとよく判ります ボクならこうします」と宮崎駿キャラが語り、宮崎駿版「幽霊塔」の絵コンテ!
この絵コンテが4ページ続くのだ。
横には、「乱歩版だったらこうなる」というミニ絵コンテもあり。
“(重く描いて下さい)”“叫ばない おちついて 肝のすわった青年にする”“特殊処理でカゲとBGなじませる”と細かい指示も描きこまれていて、脳内でアニメーション化して楽しめて大興奮。
ラスト1ページは「通俗文化の王道」というタイトル。
「ワシは子供の時に乱歩本で種をまかれた 妄想はふくらんで画工になってからカリオストロの城をつくったんだ」と宮崎駿。
以上、ぎゅう詰めカラー16ページ。
じっくり眺めれば妄想ふくらみ1ページ1時間は楽しめる。
宮崎駿のカラー口絵を巻頭にして、もちろんメインは江戸川乱歩『幽霊塔』だ。
学生のころに読んだと思うのだけど、ぜんぜん憶えていない。
『幽霊塔』を再読して、またカラー口絵16ページにもどって妄想するのが、いまから、とても楽しみだ。(米光一成)
「カラー口絵 宮崎駿」とあるので、挿絵が何枚かあるのかなと思って本を開いたら。
そんなもんじゃなかった。
漫画、断面図、絵コンテまであるとは!
次の展示は江戸川乱歩の幽霊塔
本を開くと、カラー解説漫画「ぼくの幽霊塔」がいきなり出てくる。
少年時代の宮崎駿が貸本屋で『幽霊塔』と出会い夢中になる様子が描かれる。
“幽霊塔のロマンスにあこがれ歯車にあこがれた”というエピソードをはさんで、大人の宮崎駿が登場。
「それで次の展示は江戸川乱歩の幽霊塔でいこうと思う」と叫ぶ。
脈絡のない唐突な発言に戸惑うみんなを置いてけぼりにしたまま、
「ホールにでっかい塔をたてるんだスゴイぞ」
「中に入れるんだこわいぞ」
「地下にひろがる大迷宮をつくるのだ」
「だれも出られないのだ コマルゾ」
と大興奮。
どれだけ少年時代の夢中さを維持しているのか。
(ジブリ美術館「幽霊塔へようこそ展」)
映画にするなら!
さらに「乱歩の幽霊塔」の断面図解。
「思い込みの幽霊塔」イラストも凄い。
ああ、アニメーションで観たいと思ってるところに、
「映画にするならこの位の方がイイと思う」というセリフ。
おおおおおお!
「えいがつくるの?」
「えいがはつくりません」というツッコミがコマ外に書いてあるけれど、観たいです。
ここまでで4ページ。
めちゃくちゃ詰め込まれて読み応えじゅうぶん。
さらに「幽霊塔各層断面図」が1ページ。
「時鐘」「時計機関部」「塔部」「居住部」の各層の断面図と解説だ。
乱歩と涙香と駿
続いて「乱歩少年幽霊塔に会う」。
江戸川乱歩が『幽霊塔』に夢中になる様子を描いた漫画だ。
で、乱歩が夢中になった黒岩涙香版の『幽霊塔』について。
そして原作「灰色の女」の表紙絵イメージと、原作版の時計塔ローンアベイ館のイラスト(断面図も!)。
「幽霊塔と灰色の女」と題されたページでは、黒岩涙香と江戸川乱歩が、どのように原作をアレンジしたのかを解説。
財宝の部屋を、涙香は地下に移し、財宝を増量。乱歩は、地下の大迷宮にした。
宮崎駿「幽霊塔」絵コンテ
そして12ページ目。
「主人公の青年とヒロインの出会いはとても大切です 乱歩本と灰色の女のちがいはコンテにするとよく判ります ボクならこうします」と宮崎駿キャラが語り、宮崎駿版「幽霊塔」の絵コンテ!
この絵コンテが4ページ続くのだ。
横には、「乱歩版だったらこうなる」というミニ絵コンテもあり。
“(重く描いて下さい)”“叫ばない おちついて 肝のすわった青年にする”“特殊処理でカゲとBGなじませる”と細かい指示も描きこまれていて、脳内でアニメーション化して楽しめて大興奮。
ラスト1ページは「通俗文化の王道」というタイトル。
「ワシは子供の時に乱歩本で種をまかれた 妄想はふくらんで画工になってからカリオストロの城をつくったんだ」と宮崎駿。
以上、ぎゅう詰めカラー16ページ。
じっくり眺めれば妄想ふくらみ1ページ1時間は楽しめる。
宮崎駿のカラー口絵を巻頭にして、もちろんメインは江戸川乱歩『幽霊塔』だ。
学生のころに読んだと思うのだけど、ぜんぜん憶えていない。
『幽霊塔』を再読して、またカラー口絵16ページにもどって妄想するのが、いまから、とても楽しみだ。(米光一成)