在宅ファンが独断と偏見で選ぶ第7回AKB48選抜総選挙「スピーチ」ベスト3
「私は『指原莉乃』をやり通そう、そう決めました」
6月6日に行われた第7回AKB48選抜総選挙。今回は福岡のヤフオクドームで行われた。
選抜総選挙でもっとも注目を集めるのは「順位」。誰が1位になるのか? どのメンバーが16人選抜に選ばれるのか? あの子は今年こそランクインできるだろうか? ……などなど、順位にまつわる話題は事欠かない。
しかし、同じくらい注目を集めるのは「スピーチ」。
マイクの前に立ったメンバーは、果たしてどんなことを話すのか?
スピーチは、ファンへの感謝を言う場であるのと同時に、大勢の人に自分をアピールする場でもある。スピーチを機に「見つかる」ことだってある。
今回は、素晴らしいスピーチをしたメンバーを独断と偏見でランキング形式で紹介したい。
……が、その前に。
「スピーチを聞く」という意味では、今年の選抜総選挙はもどかしかった。
現地参戦のファンはこれまでと変わらない。ただ、去年までは実施されていたネット中継がなくなってしまったのだ。
中継は有料放送のスカパー!とフジテレビのみ。18時半から始まったフジテレビの中継は、スタジオトークでメンバーのスピーチはほとんど画面に映されず、副音声で聞くのがやっとだった。CM中はもちろんスピーチを聞くことはできない。
というわけで、そもそもスピーチ全文を聞くことができたメンバーが少ない。そのため、今回のランキングは上位に集中している。そこをまずお詫びしておく。すみません!
1位:指原莉乃(1位)
2013年の覇者・指原莉乃が、再び王者の座に戻ってきた。
かつては「ヘタレ」キャラとバラエティ適性で知られていた指原。しかしスキャンダルとHKTへの移籍を経て、彼女は「AKBのアイドル」ではなく「タレント指原莉乃」となった。
今回の指原のスピーチは、あの2013年のスピーチよりも、ずっとずっとすごかった。
「私は大分県で学生をしたときは、自分のことをまあまあカワイイと勘違いしていました。AKBに入って、どうやったらセンターになれるのか、どうやったら前田敦子さんや大島優子さんのようになれるのだろうと考えました。私は開き直りました。私は、『指原莉乃』をやり通そう。そう決めました」
「私はブスで貧乳でいいところは本当に少ないです。いいところのない私は開き直って、一昨年1位をとることができました。でも、その1位は『スキャンダルからの大逆転』『HKT48の立役者』……AKBのストーリーに支えられての1位だったと思います。でも私はいつかみんなのように『指原莉乃』として評価されたい、そう思ってきました」
「全国の、自分に自信のないみなさん。私のように、いじめられて、ひきこもって、親に迷惑をかけてしまったみなさん。陽の当たっていないみなさん。私は、もう一度1位になることができました。私は、落ちこぼれです。選ばれた人間ではありません。全国の落ちこぼれのみなさん、私の1位を、どうか自信に変えてください!」
指原は決して正統派のアイドルではない。でもある種の人にとっては、まぎれもなく太陽なのだ……(ポエム)。
2位:島崎遥香(9位)
島崎も指原と同じく「島崎遥香」をやり通そうとしているアイドルなのだろう。毎年スピーチの短さとそっけなさをネタにされていた彼女は、今年は少し違った。マイクの前で涙ぐみ、言葉を詰まらせる。
「アイドルに向いていない私を、この順位まで上げてくれる、私のファンの皆さんに感謝したいです。私のことを応援してくれている皆さんに恩返しをしていきたいですし……このままじゃダメだと思っていて。同期の次期総監督の横山由依と一緒に、AKBの第2章を作りたいと心の中で思っていました」
「ファンの皆さん。どうか私たちの世代に力を貸してください。もっと私たちが前に進めるように、これからどうかよろしくお願いします」
島崎は、ヤンキー漫画に出てくるキャラクターのようだ。不良だがイケメンで、外見は冷めていて、でも根はアツく愛がある。「マジすか学園4」のソルト役もそういえばハマっていたなあ。
3位:渡辺麻友(3位)
AKB48ができてから10年。多くのメンバーたちは「物語」を求められ続けてきた。自身や環境の変化に応じて「成長(変化)し続ける」ことがよしとされる空気がある。
そんな中で不利なのは、「完璧なアイドル」「正統派のアイドル」を目指そうとする女の子。渡辺麻友や柏木由紀は、アイドルらしさを突き進むがゆえに難しい道を歩いてきたように思う。
特に渡辺は、「二次元のようなアイドル」から出発し、「AKB48のエース」「大人のお姉さん」、「バラエティ対応までいけるAKBの『顔』」まで、様々な顔を求められてきた。
今回の渡辺のスピーチは、その辺りの重圧から解放されたような、めちゃくちゃさばけた調子だった(余談だが、フジテレビのスタジオトークでは「雰囲気変わった?」「一皮むけたね」などと語られていた)。
「私は負けず嫌いな性格なので、これからも常に上を目指して、日々いろんな目の前のことに取り組んで、一生懸命頑張ってまいりたいと思います!」
今回の結果はファンにとっても本人にとっても悔しいものだったはず。でも、こんなまゆゆを見られて嬉しい気持ちを持ってしまう。非常に複雑な気持ちです。
殿堂入り:高橋みなみ(4位)
「未来は今なんです。今を頑張らないと、未来はない。頑張らないと始まらないということを覚えておいてほしい。『努力は必ず報われる』……とは限らない。そんなのわかってる。でも私は思います。頑張っている人が報われて欲しい。みんな目標があると思うけど、いつ報われるかはわからないんだよ。きついけど、絶対ファンの人は見てくれている。だから、諦めないでね」
1人だけ喋りのスキルが段違い。コンサートのたびに発生するサプライズも、高橋の卓越したまとめ力・コメント力があったから成立していた感もある……。スピーチ術の本を書いてほしい。
迷スピーチ:横山由依(10位)
毎年、横山の名前が呼ばれると、メンバーが「ニヤッ」とする。「緊張」モードから、「心配」&「見守り」モードに一瞬だけ切り替わるのだ。
「先輩たちが見せてくれてた景色を、これからは自分たちの世代が、後輩たちに素晴らしい景色を見せてあげられるように。AKBが5年、10年、100年続くようなグループになれるように……何言うてんやろ?」
横山総監督は、背中を見せて「ついてこい」というタイプではない。むしろ、「この人と一緒に歩いていきたい、支えていきたい」と思うタイプの総監督なのだと思う。
あまりのことに胸がつぶれそうになった:須田亜香里(18位)
選抜入りを逃してしまった須田。涙で目があかないほどの状態で、見ていて胸が苦しくなった。
「私の努力不足でした。私、ずっと自分の首を締め続けることでしか頑張れなくて、一つ一つのことやってきたんですけど、『楽しむ』っていうことを忘れていました。アイドルで一番大事なことは、自分がまず一番に楽しむことって、わかってたんですけど……それができなかった」
須田のこんなところは見たくなかった。つらくて苦しくて、録画を見直すのもつらい。でも、こんなところを見せてしまうのが選抜総選挙なのだ。来年は笑顔になってほしい……。
サッパリした表情を見せる宮澤佐江や北原里英、悔しさと次への意気込みをにじませた松井珠理奈や山本彩、「次世代の台頭」を見せつけた柴田阿弥や宮脇咲良、総選挙の可能性を感じさせる松村香織や武藤十夢や高柳明音。総選挙はドラマだ。
来年の総選挙が、どのような形で行われるのかわからない。今回ランクインした多くのメンバーが、来年には出馬しないような予感もある。それでも、また来年、彼女たちが壇上で何を話すのか、どうしても期待してしまうのだ。
(青柳美帆子)
6月6日に行われた第7回AKB48選抜総選挙。今回は福岡のヤフオクドームで行われた。
選抜総選挙でもっとも注目を集めるのは「順位」。誰が1位になるのか? どのメンバーが16人選抜に選ばれるのか? あの子は今年こそランクインできるだろうか? ……などなど、順位にまつわる話題は事欠かない。
しかし、同じくらい注目を集めるのは「スピーチ」。
マイクの前に立ったメンバーは、果たしてどんなことを話すのか?
スピーチは、ファンへの感謝を言う場であるのと同時に、大勢の人に自分をアピールする場でもある。スピーチを機に「見つかる」ことだってある。
今回は、素晴らしいスピーチをしたメンバーを独断と偏見でランキング形式で紹介したい。
「スピーチを聞く」という意味では、今年の選抜総選挙はもどかしかった。
現地参戦のファンはこれまでと変わらない。ただ、去年までは実施されていたネット中継がなくなってしまったのだ。
中継は有料放送のスカパー!とフジテレビのみ。18時半から始まったフジテレビの中継は、スタジオトークでメンバーのスピーチはほとんど画面に映されず、副音声で聞くのがやっとだった。CM中はもちろんスピーチを聞くことはできない。
というわけで、そもそもスピーチ全文を聞くことができたメンバーが少ない。そのため、今回のランキングは上位に集中している。そこをまずお詫びしておく。すみません!
2013年のスピーチよりすごかった
1位:指原莉乃(1位)
2013年の覇者・指原莉乃が、再び王者の座に戻ってきた。
かつては「ヘタレ」キャラとバラエティ適性で知られていた指原。しかしスキャンダルとHKTへの移籍を経て、彼女は「AKBのアイドル」ではなく「タレント指原莉乃」となった。
今回の指原のスピーチは、あの2013年のスピーチよりも、ずっとずっとすごかった。
「私は大分県で学生をしたときは、自分のことをまあまあカワイイと勘違いしていました。AKBに入って、どうやったらセンターになれるのか、どうやったら前田敦子さんや大島優子さんのようになれるのだろうと考えました。私は開き直りました。私は、『指原莉乃』をやり通そう。そう決めました」
「私はブスで貧乳でいいところは本当に少ないです。いいところのない私は開き直って、一昨年1位をとることができました。でも、その1位は『スキャンダルからの大逆転』『HKT48の立役者』……AKBのストーリーに支えられての1位だったと思います。でも私はいつかみんなのように『指原莉乃』として評価されたい、そう思ってきました」
「全国の、自分に自信のないみなさん。私のように、いじめられて、ひきこもって、親に迷惑をかけてしまったみなさん。陽の当たっていないみなさん。私は、もう一度1位になることができました。私は、落ちこぼれです。選ばれた人間ではありません。全国の落ちこぼれのみなさん、私の1位を、どうか自信に変えてください!」
指原は決して正統派のアイドルではない。でもある種の人にとっては、まぎれもなく太陽なのだ……(ポエム)。
2位:島崎遥香(9位)
島崎も指原と同じく「島崎遥香」をやり通そうとしているアイドルなのだろう。毎年スピーチの短さとそっけなさをネタにされていた彼女は、今年は少し違った。マイクの前で涙ぐみ、言葉を詰まらせる。
「アイドルに向いていない私を、この順位まで上げてくれる、私のファンの皆さんに感謝したいです。私のことを応援してくれている皆さんに恩返しをしていきたいですし……このままじゃダメだと思っていて。同期の次期総監督の横山由依と一緒に、AKBの第2章を作りたいと心の中で思っていました」
「ファンの皆さん。どうか私たちの世代に力を貸してください。もっと私たちが前に進めるように、これからどうかよろしくお願いします」
島崎は、ヤンキー漫画に出てくるキャラクターのようだ。不良だがイケメンで、外見は冷めていて、でも根はアツく愛がある。「マジすか学園4」のソルト役もそういえばハマっていたなあ。
私は負けず嫌いな性格なので
3位:渡辺麻友(3位)
AKB48ができてから10年。多くのメンバーたちは「物語」を求められ続けてきた。自身や環境の変化に応じて「成長(変化)し続ける」ことがよしとされる空気がある。
そんな中で不利なのは、「完璧なアイドル」「正統派のアイドル」を目指そうとする女の子。渡辺麻友や柏木由紀は、アイドルらしさを突き進むがゆえに難しい道を歩いてきたように思う。
特に渡辺は、「二次元のようなアイドル」から出発し、「AKB48のエース」「大人のお姉さん」、「バラエティ対応までいけるAKBの『顔』」まで、様々な顔を求められてきた。
今回の渡辺のスピーチは、その辺りの重圧から解放されたような、めちゃくちゃさばけた調子だった(余談だが、フジテレビのスタジオトークでは「雰囲気変わった?」「一皮むけたね」などと語られていた)。
「私は負けず嫌いな性格なので、これからも常に上を目指して、日々いろんな目の前のことに取り組んで、一生懸命頑張ってまいりたいと思います!」
今回の結果はファンにとっても本人にとっても悔しいものだったはず。でも、こんなまゆゆを見られて嬉しい気持ちを持ってしまう。非常に複雑な気持ちです。
殿堂入り:高橋みなみ(4位)
「未来は今なんです。今を頑張らないと、未来はない。頑張らないと始まらないということを覚えておいてほしい。『努力は必ず報われる』……とは限らない。そんなのわかってる。でも私は思います。頑張っている人が報われて欲しい。みんな目標があると思うけど、いつ報われるかはわからないんだよ。きついけど、絶対ファンの人は見てくれている。だから、諦めないでね」
1人だけ喋りのスキルが段違い。コンサートのたびに発生するサプライズも、高橋の卓越したまとめ力・コメント力があったから成立していた感もある……。スピーチ術の本を書いてほしい。
迷スピーチ:横山由依(10位)
毎年、横山の名前が呼ばれると、メンバーが「ニヤッ」とする。「緊張」モードから、「心配」&「見守り」モードに一瞬だけ切り替わるのだ。
「先輩たちが見せてくれてた景色を、これからは自分たちの世代が、後輩たちに素晴らしい景色を見せてあげられるように。AKBが5年、10年、100年続くようなグループになれるように……何言うてんやろ?」
横山総監督は、背中を見せて「ついてこい」というタイプではない。むしろ、「この人と一緒に歩いていきたい、支えていきたい」と思うタイプの総監督なのだと思う。
録画を見直すのもつらい
あまりのことに胸がつぶれそうになった:須田亜香里(18位)
選抜入りを逃してしまった須田。涙で目があかないほどの状態で、見ていて胸が苦しくなった。
「私の努力不足でした。私、ずっと自分の首を締め続けることでしか頑張れなくて、一つ一つのことやってきたんですけど、『楽しむ』っていうことを忘れていました。アイドルで一番大事なことは、自分がまず一番に楽しむことって、わかってたんですけど……それができなかった」
須田のこんなところは見たくなかった。つらくて苦しくて、録画を見直すのもつらい。でも、こんなところを見せてしまうのが選抜総選挙なのだ。来年は笑顔になってほしい……。
サッパリした表情を見せる宮澤佐江や北原里英、悔しさと次への意気込みをにじませた松井珠理奈や山本彩、「次世代の台頭」を見せつけた柴田阿弥や宮脇咲良、総選挙の可能性を感じさせる松村香織や武藤十夢や高柳明音。総選挙はドラマだ。
来年の総選挙が、どのような形で行われるのかわからない。今回ランクインした多くのメンバーが、来年には出馬しないような予感もある。それでも、また来年、彼女たちが壇上で何を話すのか、どうしても期待してしまうのだ。
(青柳美帆子)