ドラマ「天皇の料理番」(TBS系・毎週日曜よる9時〜)第7話では・主人公・篤蔵(佐藤健・写真右)が宇佐見(小林薫)にもらった牛刀とともにパリに飛ぶ

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「もはやお腹立ちの方もいらっしゃることと思いますが、このハレンチを絵に描いたような男は申し訳ありませんが、のちに宮中を預かる天皇の料理番になります。しかしながら、それはまだまだのちの話でございまして……」(ナレーション/黒木華)

TBS日曜劇場「天皇の料理番」第6話(5月31日放送)では、主人公・篤蔵(佐藤健)が勤め先の女将・梅(高岡早紀)と抜き差しならない関係になる。及び腰の篤蔵をあの手この手で布団に引っ張り込む梅の手練手管はさすが“色気が襦袢を着ているような女”と評されるだけのことはある。今回は梅のセリフから篤蔵の間男事件を振り返ってみたい。

あからさまに間男扱いされて


■「あんなに優しい人はいないよ。人にもやさしいけど、てめえにもやさしいんだよ、あの人は」
梅が篤蔵にちょっかいをかけ始めたのは第5話──篤蔵が俊子に離縁される前のこと。女のところに出かけたまま帰ってこない亭主(バンザイ軒の店主・仙次郎/佐藤蛾次郎)に腹を立てた梅が、手近な篤蔵をつまみ食いしようとしたのが、そもそもの発端だった。「あんた正月は田舎にもどんないのかい。じゃあ、ふたりきりだね」と思わせぶりに言ったかと思うと、「おべんとついてるよ」と篤蔵の頬をペローン。相手の顔についた米粒を口に入れ、ドギマギさせるのは古典的手法だけど、そこでなめちゃうのか。ただし、このときは故郷からの手紙を持った周太郎が訪ねてきて、未遂に終わる。

■「あんたはちゃんと、その子をかわいがんなかったんだよ。だから、奥さんすねちゃったんだ。そっちのほうもちゃんと修行しないと」
第六話は、梅と関係を持った翌朝から始まる。篤蔵はたいへんなことをしでかしたと呆然。一方、梅はまるで悪びれない。「大丈夫だったのかい。田舎のほうは?」と話題をそらし、離縁された理由は(妻を)かわいがらなかったからだと断言。「そっちのほうもちゃんと修行しないと」と、再び篤蔵を布団に引っ張り込む。むちゃくちゃな理屈だが、相手をその気にさせ、望むほうに転がす手腕はお見事。ダテに料理屋の女将を長年やってきたわけではないと思わせる、妙な説得力がある。

■「餅を吸い出してもらってたのさ」

細長くのばした餅を両はじから食べていき、キャッキャッウフフと盛り上がる篤蔵と梅。接吻直前! という瞬間、ふすまが開けられ、仙次郎が顔を出す。敷きっぱなしの布団の上でいちゃつく妻と従業員を見て、仙次郎もさすがにギョッとした顔をする。梅もさすがに慌てるが、すぐ気を取り直し、しれっと「餅を吸い出してもらっていたのさ」と言い訳。そう来たか。さらに心配顔の仙次郎に、のどを指さしながら、つらがって見せる入念ぶりである。ここまでくると、呆れるのを通り越して感心する。

あからさまに間男扱いされたことにガッカリした篤蔵は心機一転、料理に励み始める。まあ、実際のところ、間男なので落ち込むもへったくれもないが、結果オーライである。そして、病に倒れた兄(鈴木亮平)や実家からの応援もあり、篤蔵のパリ行きが決まる。そして、篤蔵は坊主頭を卒業し、髪がふさふさに。このあたりは少々駆け足の感もあったが、げっそりやせていくお兄やんを思うと、早々に渡仏していただきたい。今夜放送の第7話はいよいよパリ編。フランス駐在の日本大使として郷ひろみも登場する。ジャパ〜〜ン! 
(島影真奈美)