これは、駄目人間を受け入れる我慢大会ドラマなのか「まれ」56話
朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)6月3日(火)放送 第10週「逆転一発パンケーキ」第56話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:一木正恵
徹(大泉洋)と希(土屋太鳳)は、経営難のマ・シェリ・シュシュを救おうとマスコミ取材を入れたりホームページを作成しようとしたり奮闘中。
そんな56話で印象にのこったのが、9話で出て来た「風の者」と「土の者」の話が再び出てきたことです。
藍子(常盤貴子)は、能登に根をはる「土の者」になりたいーーつまり定住したいと願っています。彼女と反対なのが、徹と希。ふたりは、「客人」として自由にいろいろな場所に出入りし、いろいろなひとと触れ合って、風を起こします。徹が23話で「ビジネスチャンスは規格の外にある」と言っているように、徹と希は行き先々で、膠着した状況に風穴を開ける役割を担っているのかもしれません。
とはいえ、ふたりは決して優れたアイデアを出して、大活躍するわけではなく、むしろ、足を引っ張るようなことすらします。なんでそんなことを言ったりやったりするの? という常識はずれっぷり。55、56話の徹は「ビジネスには詳しい」と池畑大悟(小日向文世)に言いますが、成功体験もなく、お金を貸せるわけでもないのに、調子だけいい。
希は、せっかくマスコミ取材にこぎつけたのに、取材者が失礼だったらすぐに怒って取材をなしにしてしまうし、マ・シェリ・シュシュの名前の意味も知らずに皆を呆れさせます。
「まれ」をずっと見ていたら、世の中、できるひとばかりではなく、駄目なひとのほうが多いから、その駄目さも受け入れる寛容さこそ大事なのだというお話なのかなと思えてきました。大悟も経営やコミュニケーション面では相当駄目ですしね。
能登のひとは寛容で、みんな家族という感覚だったから、希も徹も生き生きしていられた。はたしてこれが東京、横浜ではどうなるのでしょうか。希と徹をありのまま、笑顔で受け入れられるようになることで、変化がもたらされる。これこそが、希と徹がもっている特別な魔法なのかなと思います。どこまで我慢できるか、勝負です。
「女の理屈は なかなか 男の身には しみんさけね。」(家族と離れたはずの徹が、希と一緒に暮らそうとしていると聞いて)
「ほんでも いっぺん切ったもんをちゃ また つなぐがは 案外 難しいもんやさけ。」(徹と離婚したことが正しかったか未だ迷っている藍子に)
「根っこなんか いぃくらでも 引っこ抜いて運べるけどな。」
「気張らんと ほれぐれえに 思うとるがや ちょうどいいげ。」
(能登に根をはりたいと言う藍子に)
「輪島の二股男」(圭太に)
文(田中裕子)さんスペシャルの回でした〜。含蓄ありまくりです。
(木俣冬)
エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括)
徹(大泉洋)と希(土屋太鳳)は、経営難のマ・シェリ・シュシュを救おうとマスコミ取材を入れたりホームページを作成しようとしたり奮闘中。
そんな56話で印象にのこったのが、9話で出て来た「風の者」と「土の者」の話が再び出てきたことです。
藍子(常盤貴子)は、能登に根をはる「土の者」になりたいーーつまり定住したいと願っています。彼女と反対なのが、徹と希。ふたりは、「客人」として自由にいろいろな場所に出入りし、いろいろなひとと触れ合って、風を起こします。徹が23話で「ビジネスチャンスは規格の外にある」と言っているように、徹と希は行き先々で、膠着した状況に風穴を開ける役割を担っているのかもしれません。
希は、せっかくマスコミ取材にこぎつけたのに、取材者が失礼だったらすぐに怒って取材をなしにしてしまうし、マ・シェリ・シュシュの名前の意味も知らずに皆を呆れさせます。
「まれ」をずっと見ていたら、世の中、できるひとばかりではなく、駄目なひとのほうが多いから、その駄目さも受け入れる寛容さこそ大事なのだというお話なのかなと思えてきました。大悟も経営やコミュニケーション面では相当駄目ですしね。
能登のひとは寛容で、みんな家族という感覚だったから、希も徹も生き生きしていられた。はたしてこれが東京、横浜ではどうなるのでしょうか。希と徹をありのまま、笑顔で受け入れられるようになることで、変化がもたらされる。これこそが、希と徹がもっている特別な魔法なのかなと思います。どこまで我慢できるか、勝負です。
今日の、勝手に名言
「女の理屈は なかなか 男の身には しみんさけね。」(家族と離れたはずの徹が、希と一緒に暮らそうとしていると聞いて)
「ほんでも いっぺん切ったもんをちゃ また つなぐがは 案外 難しいもんやさけ。」(徹と離婚したことが正しかったか未だ迷っている藍子に)
「根っこなんか いぃくらでも 引っこ抜いて運べるけどな。」
「気張らんと ほれぐれえに 思うとるがや ちょうどいいげ。」
(能登に根をはりたいと言う藍子に)
「輪島の二股男」(圭太に)
文(田中裕子)さんスペシャルの回でした〜。含蓄ありまくりです。
(木俣冬)
エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括)