寝癖の髪、ひげ、指、目、煙草、伏し目にした笑顔…京都も陥落する斎藤工のヤバい魅力にゾクゾク
不倫ドラマ「昼顔」(14 年/フジテレビ)で大ブレイクした斎藤工。草食系なのに肉食? という食虫植物系セクシー男子としての地位を確立、15年4月〜6月の連続ドラマ「医師たちの恋愛事情」(フジテレビ/木22時〜)でも石田ゆり子相手に色気を振りまいている彼との「京都一泊旅行」という妄想シチュエーションをコンセプトにした写真集が出版されている。
撮影はいまや日本の写真界で天下無双の蜷川実花。彼女はおそらく、斎藤工と一緒に旅する架空の女子の視線となって、彼の一挙手一投足を追う。
新幹線乗り場、タクシーの中、京都のお寺の境内、夜の京都の路地裏、そして、ラグジュアリーなホテルのお部屋。片時も斎藤工から視線を逸らさない。
帽子。寝癖の髪。ひげ。指。みつめる目。煙草。伏し目にした笑顔・・・斎藤工のすみからすみまでを見つめる様はアーティスト蜷川実花というよりも職人──エロ事師のよう。
せっかく京都に来たというのに、京都らしい写真はほとんどない。観光場所やら美味しい食事やら京都をふたりでもっといろいろ味わい尽くせばいいのに、なんて考えは野暮だといわんばかりに、120ページめいっぱい斎藤工のフェチポイントで埋まっている。
外国人が一番訪れたい都市・京都、斎藤工に破れたり。
この本のメインは、ホテルの夜から朝にかけてだ。斎藤工の唇。シャワー浴びる肉体。おしり。上腕。乳首。上腕につぐ上腕。フード。みつめる目、目、目、寝顔・・・。こうして濃密に夜は更けていく。
朝もホテルでちょっとのんびり(きっとチェックアウト遅めと想像)。
斎藤工の朝起きた顔。朝の光を浴びた膚。お風呂。おしり。背中。眼鏡。朝ご飯。
もう完全に女子向けのエロ本。人妻なんかと温泉旅行に行く男性向けのエロDVDを思い出す! というのが言い過ぎだとしても、青年誌のグラビアのテッパン、女の子が温泉旅館の畳に水着で横たわっているような世界観を充分満たしているといえるだろう。
そこで思うのは、なぜ斎藤工はこんなにも女性のなぶるような視線に身を任せ続けているのかということ。沢木耕太郎に影響されて海外をひとり旅した経験があるという(ウィキペディア情報)精神的マッチョ感を微塵も見せないのが謎過ぎる。
もっともその受け身が「昼顔」では大いに生かされ、「医師たちの恋愛事情」が「昼顔」に比べて起爆力がないのは、斎藤工が常に受け身の演技しかしないにもかかわらず、相手役にも受け身キャラの石田ゆり子をもってきてしまったからだと思う。どっちもあなたの色に染まりたいと相手の動きを待っているものだから凪状態なのだ。
もっとセンターフォワード系の俳優と組ませないと彼の受け身キャラが生きない。彼はセンターフォワードが蹴り込んだ球を受け止めるときに輝くのだから。そういう意味で、蜷川実花とのコンビは大正解だった。
彼女は猛々しく斎藤工を視姦するかのように撮影した写真を並べる途中、夜と朝の間に1点、なぞの突起物の写真を挿入する。その正体は数ページ後にわかるのでぜひ写真集を見て確認していただきたい。突如として秘宝館の写真集のような状況をつくることで、蜷川実花は斎藤工を単なる受け身のおかず男子から解放し、遊び心という意思をもって攻めるクリエーターの仲間に入れるのだ。
この物体は梶井基次郎の“檸檬”のようなもので、蜷川実花は斎藤工を、男も女もエロの地平においては等しくしょうもなくおばかさんであるという、性の革命の共犯者にしたのではないか。ふたりが愉快そうに笑っている姿が目に浮かぶようだ。
斎藤工と蜷川実花は、京都編のほかに東京編、箱根編があり、私はこれをエロ革命3部作と讃えたい。
(木俣冬)
撮影はいまや日本の写真界で天下無双の蜷川実花。彼女はおそらく、斎藤工と一緒に旅する架空の女子の視線となって、彼の一挙手一投足を追う。
新幹線乗り場、タクシーの中、京都のお寺の境内、夜の京都の路地裏、そして、ラグジュアリーなホテルのお部屋。片時も斎藤工から視線を逸らさない。
帽子。寝癖の髪。ひげ。指。みつめる目。煙草。伏し目にした笑顔・・・斎藤工のすみからすみまでを見つめる様はアーティスト蜷川実花というよりも職人──エロ事師のよう。
外国人が一番訪れたい都市・京都、斎藤工に破れたり。
この本のメインは、ホテルの夜から朝にかけてだ。斎藤工の唇。シャワー浴びる肉体。おしり。上腕。乳首。上腕につぐ上腕。フード。みつめる目、目、目、寝顔・・・。こうして濃密に夜は更けていく。
朝もホテルでちょっとのんびり(きっとチェックアウト遅めと想像)。
斎藤工の朝起きた顔。朝の光を浴びた膚。お風呂。おしり。背中。眼鏡。朝ご飯。
もう完全に女子向けのエロ本。人妻なんかと温泉旅行に行く男性向けのエロDVDを思い出す! というのが言い過ぎだとしても、青年誌のグラビアのテッパン、女の子が温泉旅館の畳に水着で横たわっているような世界観を充分満たしているといえるだろう。
そこで思うのは、なぜ斎藤工はこんなにも女性のなぶるような視線に身を任せ続けているのかということ。沢木耕太郎に影響されて海外をひとり旅した経験があるという(ウィキペディア情報)精神的マッチョ感を微塵も見せないのが謎過ぎる。
もっともその受け身が「昼顔」では大いに生かされ、「医師たちの恋愛事情」が「昼顔」に比べて起爆力がないのは、斎藤工が常に受け身の演技しかしないにもかかわらず、相手役にも受け身キャラの石田ゆり子をもってきてしまったからだと思う。どっちもあなたの色に染まりたいと相手の動きを待っているものだから凪状態なのだ。
もっとセンターフォワード系の俳優と組ませないと彼の受け身キャラが生きない。彼はセンターフォワードが蹴り込んだ球を受け止めるときに輝くのだから。そういう意味で、蜷川実花とのコンビは大正解だった。
彼女は猛々しく斎藤工を視姦するかのように撮影した写真を並べる途中、夜と朝の間に1点、なぞの突起物の写真を挿入する。その正体は数ページ後にわかるのでぜひ写真集を見て確認していただきたい。突如として秘宝館の写真集のような状況をつくることで、蜷川実花は斎藤工を単なる受け身のおかず男子から解放し、遊び心という意思をもって攻めるクリエーターの仲間に入れるのだ。
この物体は梶井基次郎の“檸檬”のようなもので、蜷川実花は斎藤工を、男も女もエロの地平においては等しくしょうもなくおばかさんであるという、性の革命の共犯者にしたのではないか。ふたりが愉快そうに笑っている姿が目に浮かぶようだ。
斎藤工と蜷川実花は、京都編のほかに東京編、箱根編があり、私はこれをエロ革命3部作と讃えたい。
(木俣冬)