夫の愛を取り戻す3つのセリフをドラマ「天皇の料理番」に学ぶ
《どうか再婚はせんでください。追伸、少しですが金を送りました。俊子が貯めておいてください。ジュテーム 篤蔵》
5月10日放送のTBS日曜劇場「天皇の料理番」「第3話では、主人公・秋山篤蔵(佐藤健)と妻・俊子(黒木華)の関係に転機が訪れた。新婚早々、家を飛び出し、料理修行に夢中の篤蔵。何が篤蔵に愛を語らせたのか。俊子のセリフから探っていきたい。
■「離縁するならするで、篤蔵さんに判を押してもらいたいんです……」
身勝手な篤蔵に業をにやした俊子の父親がとうとう、秋山家に離縁を申し出る。しかし、俊子は「篤蔵さんに判を押してもらいたい」と懇願し、東京に向かう。篤蔵に「うちら離縁したほうがいいと思います」と切り出し、離縁届を渡す俊子。「ここに名前と判を……すいません……すいません……」と涙で口ごもる姿が切ない。「(故郷に戻る気は)俺は……俺はないです」と気まずそうに言うだけの篤蔵がじれったいことこの上ない。
■「猫かてメスだけでなんとかするんです。なんとかなります」
離縁話の真っ最中に、俊子がトイレに駆け込む。どうやら妊娠しているらしい。篤蔵は「もしかして、料理が口にあわんかったか」と、にぶちん街道まっしぐら。妊娠がわかったらわかったで「わしに聞かれても!」「ごめんな。わし、仕事で……」と役に立たない。でも、俊子は腹を立てるどころか、「大丈夫です。猫かてメスだけでなんとかするんです。なんとかなります」とキッパリ。「徳蔵さんはおつとめがんばってください」と励ます。どれだけ頼りになる嫁なのか。
■「クズやないです! 篤蔵さんはお仕事いっしょうけんめいやってます」
さて「なんとかなります」とは言ってはみたものの、父親の怒りはさらに増幅。再婚話を白紙に戻すどころか、「(赤ん坊を)始末してこい」と言われてしまう。喧嘩になり、家出した俊子は篤蔵の実家に転がりこむ。事情を知った篤蔵の父親は驚き、腹を立て、篤蔵を連れ戻すと息巻く。しかし、俊子は篤蔵をひたすらかばう。働きぶりや上司の信頼、料理の腕があがっていることを伝え、「後生ですからこのまま精進させてやってください」と土下座までする。
ここまでくるとできすぎというか、何というか。甘やかしすぎなのでは、と不安になるほど。でも、そんな俊子のけなげさが篤蔵の心を動かしたのか、篤蔵にも変化が生じる。財布を拾ったとをきっかけに知り合った英国大使館のシェフ(加藤雅也)に頼み込み、華族会館で働く傍ら秘密裡に料理を習いはじめる。その甲斐もあって、華族会館では洗い場担当から野菜担当に昇進し、給料もアップ。それが冒頭のラブレターにつながった。
妊娠騒動のくだりは原作小説『天皇の料理番』(杉森久英著・集英社文庫)にも登場するが、様子はだいぶ異なる。原作では妻・おふじが妊娠を知らせるため、郷里からたずねてくる。「あたしが、そばにいてはいかんかしら?」という妻に対し、篤蔵は「わしはまだ、お前を養う力がない」「子供を生むのも、育てるのも、年寄りのそばのほうがいいぞ」と説得を重ねる。ずるいというか、なんというか「そのうち迎えにゆくから」というセリフも真実味に欠ける。実際、ふたりはその日を最後に会うことがないまま、離婚に至るのだ。
ドラマ版の篤蔵と妻・俊子はひとまず離婚の危機を乗り越えた。篤蔵は手紙に「できるだけ早く俊子と子どもを迎えに行きますさけ。お父さんにもさまざまきちんと謝りにいきますさけ」ともつづっている。
妻・俊子と産まれてくる子供を養うため、必死に駆けまわる篤蔵。しかし、上司である宇佐美(小林薫)から目をかけられつつある篤蔵をおもろしく思わない人々もいる。今夜放送の第4話では、英国大使館に出入りしていることを同僚の辰吉(柄本佑)に知られてしまう。篤蔵はまた窮地に立たされてしまうのか。そして、日増しにげっそりやせていく兄・周太郎(鈴木亮平)の病状も気になりつつ、今夜9時から!
(島影真奈美)
5月10日放送のTBS日曜劇場「天皇の料理番」「第3話では、主人公・秋山篤蔵(佐藤健)と妻・俊子(黒木華)の関係に転機が訪れた。新婚早々、家を飛び出し、料理修行に夢中の篤蔵。何が篤蔵に愛を語らせたのか。俊子のセリフから探っていきたい。
■「離縁するならするで、篤蔵さんに判を押してもらいたいんです……」
身勝手な篤蔵に業をにやした俊子の父親がとうとう、秋山家に離縁を申し出る。しかし、俊子は「篤蔵さんに判を押してもらいたい」と懇願し、東京に向かう。篤蔵に「うちら離縁したほうがいいと思います」と切り出し、離縁届を渡す俊子。「ここに名前と判を……すいません……すいません……」と涙で口ごもる姿が切ない。「(故郷に戻る気は)俺は……俺はないです」と気まずそうに言うだけの篤蔵がじれったいことこの上ない。
離縁話の真っ最中に、俊子がトイレに駆け込む。どうやら妊娠しているらしい。篤蔵は「もしかして、料理が口にあわんかったか」と、にぶちん街道まっしぐら。妊娠がわかったらわかったで「わしに聞かれても!」「ごめんな。わし、仕事で……」と役に立たない。でも、俊子は腹を立てるどころか、「大丈夫です。猫かてメスだけでなんとかするんです。なんとかなります」とキッパリ。「徳蔵さんはおつとめがんばってください」と励ます。どれだけ頼りになる嫁なのか。
■「クズやないです! 篤蔵さんはお仕事いっしょうけんめいやってます」
さて「なんとかなります」とは言ってはみたものの、父親の怒りはさらに増幅。再婚話を白紙に戻すどころか、「(赤ん坊を)始末してこい」と言われてしまう。喧嘩になり、家出した俊子は篤蔵の実家に転がりこむ。事情を知った篤蔵の父親は驚き、腹を立て、篤蔵を連れ戻すと息巻く。しかし、俊子は篤蔵をひたすらかばう。働きぶりや上司の信頼、料理の腕があがっていることを伝え、「後生ですからこのまま精進させてやってください」と土下座までする。
ここまでくるとできすぎというか、何というか。甘やかしすぎなのでは、と不安になるほど。でも、そんな俊子のけなげさが篤蔵の心を動かしたのか、篤蔵にも変化が生じる。財布を拾ったとをきっかけに知り合った英国大使館のシェフ(加藤雅也)に頼み込み、華族会館で働く傍ら秘密裡に料理を習いはじめる。その甲斐もあって、華族会館では洗い場担当から野菜担当に昇進し、給料もアップ。それが冒頭のラブレターにつながった。
妊娠騒動のくだりは原作小説『天皇の料理番』(杉森久英著・集英社文庫)にも登場するが、様子はだいぶ異なる。原作では妻・おふじが妊娠を知らせるため、郷里からたずねてくる。「あたしが、そばにいてはいかんかしら?」という妻に対し、篤蔵は「わしはまだ、お前を養う力がない」「子供を生むのも、育てるのも、年寄りのそばのほうがいいぞ」と説得を重ねる。ずるいというか、なんというか「そのうち迎えにゆくから」というセリフも真実味に欠ける。実際、ふたりはその日を最後に会うことがないまま、離婚に至るのだ。
ドラマ版の篤蔵と妻・俊子はひとまず離婚の危機を乗り越えた。篤蔵は手紙に「できるだけ早く俊子と子どもを迎えに行きますさけ。お父さんにもさまざまきちんと謝りにいきますさけ」ともつづっている。
妻・俊子と産まれてくる子供を養うため、必死に駆けまわる篤蔵。しかし、上司である宇佐美(小林薫)から目をかけられつつある篤蔵をおもろしく思わない人々もいる。今夜放送の第4話では、英国大使館に出入りしていることを同僚の辰吉(柄本佑)に知られてしまう。篤蔵はまた窮地に立たされてしまうのか。そして、日増しにげっそりやせていく兄・周太郎(鈴木亮平)の病状も気になりつつ、今夜9時から!
(島影真奈美)