日本シリーズ進出チームを決める日本とは違い、MLBでは“リーグ優勝”をかけてプレーオフが行われる [Getty images]

写真拡大

 プロ野球はCSファイナルステージを終え、日本シリーズの対戦カードが決まった。パ・リーグからはレギュラーシーズンを制覇し、クライマックスシリーズ(CS)でも苦しみながら日本ハムを下したソフトバンクが進出。一方のセ・リーグはシーズン2位ながら、CSで5勝1分と圧倒的な強さを見せつけ、広島と巨人を打ち砕いた阪神が9年ぶりの大舞台に戻ってくる。

 阪神ファンの多くは、ファイナルステージで宿敵・巨人を破ったことに歓喜の声を上げた一方、「正直に喜べない」や「あくまでも優勝は巨人だし…」といったモヤモヤした感情を抱いたファンも少なからずいたようだ。全12球団のうち半数の6球団に日本一のチャンスがある現行のCS制度に異を唱える声も上がっている。

 海の向こうメジャーリーグでのポストシーズンの扱いは日本とはどう違うのだろうか。まず球団の数は日本の2.5倍にあたる30チームある。アメリカン・ナショナル両リーグはそれぞれ3地区制をとっており、各地区の優勝チームと優勝を逃したチームのうち各リーグ勝率上位の2チームがポストシーズンを戦う。割合にすると30チーム中10チーム。3チーム中1チームに世界一のチャンスがあるという計算だ。プロ野球に当てはめると、12チーム中4チームということになる。

 最大の違いはメジャーではレギュラーシーズン終了時にリーグ優勝チームが決まらないという点だ。あくまでも地区優勝チームとワイルドカードチームによってポストシーズンを戦い、勝ち抜いたチームがリーグチャンピオンとしてワールドシリーズに出場する。今年はサンフランシスコ・ジャイアンツとカンザスシティ・ロイヤルズが地区優勝を逃し、ワイルドカードから勝ち上がったが、“リーグチャンピオン”としてワールドシリーズに臨むというわけだ。

 すなわち、メジャーリーグではポストシーズンはリーグチャンピオンを決めるトーナメント。プロ野球のクライマックスシリーズは日本シリーズ進出チームを決めるもの。構造は似ているが、決定的な違いがあることが分かる。では一部阪神ファンのモヤモヤ感を解消するにはどうすればいいのだろうか。

 幾つか考えられるが、地区制を採用するのも一案だろう。セ・リーグでいうと巨人、ヤクルト、DeNAを東地区。中日、阪神、広島を西地区に振り分け、各地区の優勝チームがセ・リーグチャンピオン(=日本シリーズ進出)を懸けて戦う。地区による偏りが生まれないよう、リーグ全体で戦力を均衡化させる必要はあるが、現行のセ・パ両リーグを維持した上でポストシーズンを行うには、もっとも分かりやすい形である。

 他には、レギュラーシーズンをあくまでもクライマックスシリーズのシード順を決めるものとする案だ。今年でいうと、巨人はあくまでもリーグ“1位通過”ということになる。CSの勝者がそのままリーグチャンピオンを名乗ればいい。そうすればモヤモヤ感はほぼなくなるのではないだろうか。

 そもそもファイナルステージでリーグ優勝チームに1勝のアドバンテージが与えられ、全試合ホームで戦えるなど、2位、3位チームに「日本シリーズは控えるように」と言わんばかりのシステムが採用されている。9年ぶりの日本シリーズ進出を決めたにもかかわらず胴上げやビールかけを“できない”阪神のチーム関係者や、モヤモヤ感にさいなまれる一部阪神ファンはある意味、被害者といってもいいだろう。もちろんここ数年、同じシステムで行われてきており、“1位通過”チームが順当に日本シリーズに進出することが多かったため、あまり話題にならなかったのも事実だ。しかしより多くのプロ野球ファンが納得するためには、まだまだ議論の余地はありそうだ。