飯塚と同じ世界ジュニアで銀メダルを獲得した男子やり投げのディーン元気(21)も「28歳といえばちょうど技術も熟成する頃。父親の母国で開催されたロンドン五輪に続き、生まれ育った日本でも五輪があるのは本当に幸運なこと。リオでロンドンのリベンジを果たし、東京では最高の結果を出したい」と意欲を語っている。

 さらに同じく世界ジュニアの走り高跳びで銅メダルを獲得した戸辺直人(21)も、東京五輪決定の当日に2m28の自己新をマーク。世界と勝負できる2m30台を視野に入れたのは大きい。

 だが、日本陸上界で最も大きな課題は、男女マラソンで世界と勝負できる人材の育成だ。選手のモチベーションが高くなることで、その候補選手が続々と登場するのを期待したい。

<体操>種目別でも金を狙う
 ロンドン五輪までは絶対的存在、内村航平がいた体操は、加藤凌平(19)がリオ五輪後に内村の後を継ぎオールラウンダーのエースになっているはずだ。また、高校生ながら世界選手権代表になり、ゆかで後方宙返り4回捻りを武器に世界トップの演技構成をこなす白井健三(17)も期待の逸材である。今年の世界選手権は跳馬でも伸身ユルチェンコ3回捻りの大技に挑戦する予定だ。この二人が順調に力を伸ばせば、団体と個人総合だけではなく、種目別でも複数の金メダルを狙えそうだ。

<サッカー>男女ともにメダル狙う
 東京五輪の男子サッカーは、現行通りの「23歳以下、オーバーエージ最大3人」というレギュレーションなら、出場資格は97年1月1日以降に生まれた選手となる。年齢別代表でいうと、現在のU―16日本代表がこれにあたり、これまで欧州遠征などで同世代のフランスなどと互角に渡り合ってきた。今秋行なわれるU―17世界選手権に飛び級で抜擢されそうなFW杉森考起(16、名古屋グランパスU‐18)をはじめ、将来が楽しみな素材がそろっている。トットナムの下部組織に所属するサイ・ゴダード(16)、バルセロナの下部組織に所属する久保建英(12)ら、欧州育ちの選手が入ってくる可能性もある。

 女子サッカーは、昨年行なわれたU‐20女子W杯で銅メダルを獲得した“ヤングなでしこ”のメンバーが中心になるだろう。ロンドン五輪メンバーに19歳で選ばれたFW岩淵真奈(20、ホッフェンハイム)を筆頭に、MF田中陽子(20、INAC神戸)、田中美南(19、日テレ)らに期待がかかる。

<バレーボール>若手台頭で目指す世界一
 女子バレーの司令塔として期待されるのが、今年から国際舞台に立つ宮下遥(19)。ワールドグランプリ、世界バレー予選のメインセッターとして活躍した。その宮下は「東京に決まったときはすごく嬉しかったです。まだまだ先のことなので、想像がつきませんが、自分はセッターとしてその頃一番いい年齢だと思うので、中心選手として出場し、世界一を目指したい」と抱負を語る。また、今年初めて全日本に選出された古賀紗理那(16)は、優勝したアジアユース女子選手権大会でMVPとベストスコアラーを受賞。木村沙織の後継者として期待がかかる。

<その他>逸材続々、女子バドミントン
 お家芸復活を目指す柔道は、先日の世界選手権で金メダルを獲得した60kg級の高藤直寿(20)や73kg級優勝の大野将平(21)、さらには期待されながらもケガに泣いた100kg超級の原沢久喜(21)がさらなる進化をとげてチームの中心選手になっているはずだ。

 卓球では、ロンドン五輪で活躍した石川佳純や丹羽孝希が、27歳と25歳になっている。経験を積み重ねた二人が若手を引っ張るチームになっていれば期待も大きい。

 バドミントンは、昨年の世界ジュニアシングルスでアベック優勝を果たした桃田賢斗(18)と奥原希望(18)がいる。それ以外にも、同大会の女子シングルス決勝で奥原に敗れて準優勝になった山口茜(16)、U−19アジアユース優勝の大堀彩(16)などタレントが多い。特に女子は、ダブルスのペアリングなどを戦略的にやっていけば、王者中国を脅かすレベルにもなれるはずだ。

 東京五輪決定は、7年後のためのスタートに他ならない。これから飛び出して来る若い選手たちと、すでに実績を残している選手たちが、代表の座をめぐって激しい競り合いを繰り広げれば、地元開催の五輪で史上最多のメダルを狙えるはずだ。

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