【綾野剛】大河『八重の桜』『最高の離婚』で完全ブレイク!! デビューからの道のりを徹底解剖

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綾野剛はもう完全にブレイクした、と言ってもいいかもしれない。現在は、NHKの大河ドラマ『八重の桜』で会津のお殿様・松平容保を、フジテレビ系木曜10時から放送の『最高の離婚』で真木よう子のパートナー・上原諒を演じている。ここ1〜2年、注目を集める出演作が続き、なおかつ、その中にNHKの朝ドラも大河も含まれているのだから、すでに全国区と言っても過言ではないだろう。

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しかも、単に出演作に恵まれていたというだけではなく、演じている役柄も幅広い。スキルを伴ってここまで登ってきた感じだ。ということで、今回は綾野剛がここまで登ってきた道のりを振り返ってみよう。

■■ファーストインパクトは児童虐待男

綾野剛の俳優としてのデビューは、2003年から04年にかけてテレ朝系で放送された『仮面ライダー555』。スパイダーオルフェノクという怪人に進化した澤田亜希役だった。その後は映画の仕事が多くなり、古厩智之監督の『奈緒子』、園子温監督の『愛のむきだし』、三池崇史監督の『クローズZERO II』などにも出演している。ただ、一般的に多くの視聴者から「あれは誰だ?」と興味を持たれたのは、やはり2010年4〜6月期に日テレ系で放送された『Mother』だろう。

『Mother』は、言わずと知れた芦田愛菜の出世作。母親とその恋人から虐待を受けていた小学校1年生の玲南(芦田愛菜)を、もともと渡り鳥の研究者で一時的に小学校の教師をしていた主人公の奈緒(松雪泰子)が誘拐という形で救い出す話だった。その玲南を虐待していた母親の恋人・浦上真人を演じていたのが綾野剛。真人が玲南に直接暴力を振るう虐待シーンはなかったものの、玲南に白いドレスを着させ、顔をわしづかみして赤い口紅を塗るという過激な描写もあった。そうした様子を見て、母親は玲南を汚らしいと思うようになり、玲南をゴミ袋に入れて捨ててしまうのだが、その母親を演じていたのは尾野真千子だった。綾野剛と尾野真千子は、このあと『カーネーション』でも『最高の離婚』でも共演することになる。

■■タトゥーを入れている役が多かった2010年

『Mother』で綾野剛が演じた真人には右手首にタトゥーがあったが、翌クールの2010年7〜9月期にフジテレビ系で放送された『GOLD』に出演したときの綾野剛にもタトゥーがあった。

『GOLD』は、3人の子供を持つカリスマ美容研究家が、子供たちにオリンピックで金メダルを取らせるために独自の教育論を展開していくというストーリーで、脚本の野島伸司の世界観が色濃く出たホームドラマだった。主人公の美容研究家・悠里は天海祐希。3人の子供は、長男・洸を松坂桃李、次男・廉を矢野聖人、長女・晶を武井咲が演じていた。綾野剛は、高飛び込みのオリンピック候補になっていた晶を取材するカメラマン・洋介として登場。その左肩にバタフライのタトゥーがあった。

じつは、洋介は悠里の亡くなった兄・修一の息子で、晶とは従兄弟関係になるのだが、オリンピック代表選手だった修一の息子であることを証明するために晶に近づいていた。晶はそのことを知らずに洋介と親しくなってしまう、というような展開。綾野剛が演じる洋介は、身分を隠して晶に近づくという行動を取っていたが、けっして野心家ではなく、どちらかといえば繊細なキャラクターだった。長髪にタトゥーという外見でありながらも、どこか影のある人物像は、綾野剛に合っていたと思う。この作品では綾野剛と武井咲のキスシーンやベットインするシーンもあり、今見るとブレイク前の2人の貴重なシーンとなっている。

さらにその翌クール、2010年10〜12月期にNHKで放送された『セカンドバージン』でも、綾野剛はタトゥーのある役だった。『セカンドバージン』は、鈴木京香が演じるバツイチの出版プロデューサー・中村るいと、妻(深田恭子)がいる17歳年下の証券会社社長・鈴木行(長谷川博己)との不倫を描いた物語。綾野剛は、中村るいが19歳のときに生んだ息子の役で、パンクバンドをやりながら親のすねをかじっている男だった。両腕と首に派手なタトゥーがあり、ドラマの前半はかなりワイルドなキャラクターだった。

『セカンドバージン』は長谷川博己の出世作で映画化もされたが、連ドラ版に出ていた綾野剛も、その存在にインパクトがあった。切れ長でシャープな目はときに怖さもあり、舌足らずなしゃべり方は可愛らしくもあった。とくにこの作品での綾野剛は、親の愛情に飢えて反発している役どころで、ピッタリだったと思う。ちなみに、綾野剛は役者デビューの前からバンド活動をしていて、2007年の主演映画『Life』では音楽監督も兼任している。『セカンドバージン』のようにバンドマンという設定の役もいくつかあり、DVD化はされていないが、第22回フジテレビヤングシナリオ大賞受賞作の『さよならロビンソンクルーソー』では、演奏シーンを見ることもできる。

■■少ない出演でも強烈な印象だった『カーネーション』

綾野剛の長髪にタトゥーというイメージを一気に払拭したのが、2012年のNHK朝ドラ『カーネーション』だった。このドラマでの綾野剛の役は、長崎から岸和田にやってきた紳士服の職人・周防龍一。尾野真千子が演じるヒロイン・糸子と仕事で知り合い、不倫関係になる男だった。

といっても、ドロドロとした雰囲気はなく、周防龍一の素朴で透明感のあるキャラクターは秀逸だったと思う。もともと『カーネーション』は作品としてのクオリティーが高く、戦前から戦後にかけてがむしゃらに働いた糸子のバイタリティーあふれるキャラクターがしっかりと描かれていた。周防龍一はその糸子が唯一恋をした相手だったので、あのキャラクターが活きたんだと思う。全26週のうち、綾野剛が出演していたのはわずか3週程度だったが、強烈な印象を残した作品だった。

2012年4〜6月期は、『セカンドバージン』を書いた大石静の作品『クレオパトラな女たち』にも出演していた。低視聴率が原因かどうかはわからないが、8話で終了してしまった作品なので、見ていた人は少ないかもしれない。このドラマは美容クリニックを舞台にしたヒューマンコメディで、綾野剛は都庁に勤めるゲイの役。佐藤隆太が演じる主人公と同居しながらも、その思いは伝わらないという役どころだった。視聴率は低かったものの、かなり面白い作品で、綾野剛のナチュラルな演技も印象的だった。クリニックに勤める看護師を演じていた北乃きいとケンカをするシーンは、やたらとリアルで一見の価値ありだ。

長髪にタトゥーで、本当にこの人ヤバイんじゃないかと思わせるような演技をしていた頃から見ていると、『カーネーション』での職人役や『クレオパトラな女たち』でのゲイ役は、綾野剛の演技力を証明するには十分だった。こうして2012年7〜9月期にはフジテレビ系の『リッチマン、プアウーマン』で小栗旬と井浦新の元同僚役として月9出演も果たし、いよいよ大河ドラマに進出することになる。

■■大河と同時に連ドラの連投も決定

2013年の大河ドラマ『八重の桜』は、綾瀬はるかを主演に迎え、幕末のジャンヌ・ダルクといわれる会津の女性・新島八重の生涯を描いている。その初回はかなり期待のもてるものだったが、序盤はまだ会津の事情などを描く部分が多く、綾瀬はるかにはそんなにスポットが当たっていない。そのかわり目立っているのが、会津藩の藩主・松平容保を演じている綾野剛だ。もともと松平容保の人物像が魅力的というのもあるが、その容保を綾野剛は気品と迫力をもって演じていると思う。まさにこれまでの経験が活きている感じだ。ドラマ全体としてはややスピード感に欠けるものの、しばらくは綾野剛と、八重の兄を演じている西島秀俊が、このドラマを引っ張っていってくれそうだ。

綾野剛は、同時にフジテレビ系木曜10時の『最高の離婚』にも出演している。脚本は『Mother』と同じ坂元裕二。瑛太が演じる光生と尾野真千子が演じる結夏、真木よう子が演じる灯里と綾野剛が演じる諒という2組の30代カップルの姿を通して、結婚や家族のあり方について描いている。諒(綾野剛)は美大の助手で、灯里(真木よう子)の旦那さんだが結婚届は出していない状態。一緒に暮らすようになってからも他の複数の女性と付き合っている。ただ、単に軽い男というわけではなくて、幸せを望むのが怖くなっているエピソードも6話では語られている。このドラマはコメディ要素も強いので、綾野剛のまた別の魅力も出ていると思う。2011年にテレ東系の『勇者ヨシヒコと魔王の城』にゲスト出演して、ドタバタのコントっぽいこともやっていたが、コメディはもっとやってもいいような気がする。

今後の綾野剛は、3月31日にフジテレビ系で放送される『アンフェア』のスペシャルドラマ、『ダブル・ミーニング Yes or No?』にもゲスト出演するし、4〜6月期のTBS系日曜劇場『空飛ぶ広報室』では、新垣結衣の相手役に決っている。これからも綾野剛には注目だ。

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