八つ当たりで焼身自殺? 風俗店に火だるまの男が乱入

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自分の身体を焼き、死んでいく。想像がつかないほどの苦痛をともない、だからこそ重い覚悟がなければできない死に方。それが焼身自殺というものであろう。




筆者が知る限りでは、政治的な抗議を目的になされることが多い。どれだけがんばっても、政治を批判する自分の声は為政者に届かない。ならば、できるだけインパクトのある方法で死ぬことにより、自分の声を世間に届け、為政者に届けようではないか……。




これも焼身自殺といえるのだろうが、愛知県西尾市で奇怪な事件が起きた。2013年2月14日付の中日新聞に「ショーパブに火だるまの男、店内燃え男は死亡 西尾」という記事が掲載されている。これは、虚構のような本当の話だ。




記事によれば、同市の「飲食店『ショー・パブ・ズー』の女性店員から『客が灯油をかぶった状態で店に入ってきた。男が燃えている』と110番があ」り、「火は店内に燃え移り、鉄筋2階建ての1階店舗140平方メートルのうち100平方メートルを焼き」、「店に入ってきた50〜60代の男1人の死亡が確認された」と言う。




さらに、男は「体から炎を上げながら店内に入ってきた際、ポリタンクを右手に持ち、灯油のような液体をまいた」。当時、客と従業員を合わせて28人が店内にいたが、そんな状況の男を目の当たりにした時のインパクトは、相当のものだったと思われる。




男性は、「1年ほど前からの常連客で、店の女性への好意からたびたびトラブルを起こしていた」。つまり、現時点で記事を読む分には、男が焼身自殺した理由は、店の女性への怨恨か店への八つ当たりである可能性が高い。




自らの身体とショーパブを焼いたことで、男は満足したのであろうか。それにしても、色恋の恨みが焼身自殺を覚悟した動機なのであれば、どれだけ強い恨みであったのか知りたくなる。もちろん逆恨みの可能性も多いにあるが。




人は、スイッチが入ると、何をするかわからないものなんだなあ、とつくづく思う。




(谷川 茂)