――「はやぶさ」のプロジェクトは、本当に途方もない時間が費やされましたね。構想段階から含めたら20年以上にもなりますからね。

竹内:そうですよ。その中でプロジェクトから抜けざるを得なかったりとか、いろいろな事情で離れていってしまう人もいたり。物事を何か続ける際に何が一番難しいかというと、最初に決めた気持ち、同じ感情というかモチベーションをずっと維持し続けることだと思うんですよね。何年も続けることは、どんなだったんだろうって本当に思います。例えば、作品を撮るにしても3ヶ月とか、早いものだと1ヶ月になったりして、それだけでも最初の「よし、やるぞ! いいものにするぞ」と思い立った気持ちを本当に毎日、同じ純度で維持できるかというと、それはそれで難しくて、やはり体調の変化とかスケジュールのタイトさとかで同じモチベーションでいられない日も必ずありますし。それを7年なり、10年なり、10何年とかですよ。すごいな、と。

――長い時間、気持ちを維持していくことは、本当に難しいですよね。

竹内:特に、引っ張っていく人、佐野さん演じた川口さんは、プロジェクトリーダーですから、大変だったのでしょうね。同じチームの人間たちにその興味を失わないように、そのプロジェクトからくじけないように、常に引っ張っていく、もしくは課題を出し続けるのは大変なことだろうな、と思います。

――ずっと続けている訳ですからね。かなり我慢強かったり、気が長かったりしないと難しいでしょうね。ところで、竹内さんは気が長い方ですか?

竹内:たぶん短い方だと思いますね。長い時もあるのかな?

――「はやぶさ」スタッフの様に、7年間、一つのことに取り組み続けられますか?

竹内:例えば、最初に割と物事に対する結論って、ぽっと出てしまう方なんですね。それが正しいかどうか選択していいのかどうかを考えるために、長く時間をかける方だと思いますよ。

――意外と「はやぶさ」的なのかもしれないですね。最初「やるぞ」って決めて、そこから長い時間をかけていくので、ある意味、本当に「はやぶさ」のチームにいても大丈夫だったかもしれないですね。

竹内:もう少し勉強に熱心な家に育っていたのであれば、もしくは、宇宙を目指すほど勤勉な少女であったなら(笑)。研究職って突き詰めても、突き詰めても、また新しい課題が出てきたり、終わりのないものだったりするし、その中でやはり好きだから続けられるというのが大きいんだろうなというのは、JAXAの方とお話していて感じたところでもありますね。実際にJAXAで撮影もしていたので、機材とか部屋の中の様子をいろいろと伺っていた時に、分かりやすく噛み砕いて説明してくださるんですけど、その時の目がとてもキラキラしているんです。話を聴いていると、この人は本当に好きで、こういうことをしているんだな、というのを感じて、それはとても素敵なことだな、と思いました。

――自分の好きな「宇宙」に関しての魅力を説明したくて仕方がなかったのでしょうね。

竹内:そうかも知れませんね。小さな子供が自分の宝物について話す時のような純度の高さでしたよ。