5日付スペインのスポーツ紙「アス」の一面を飾ったのは、15歳の少年だ。見出しは「ジダンの後継者は…ジダン」。ジネディーヌ・ジダン氏の長男エンゾくんを大々的に取り上げている。

 現在レアル・マドリーのU-15チームで背番号10をつけ司令塔として活躍する主将エンゾ・ジダン。数年前までレアル・ユースの選手リストにジダンの名はなかった。目立ちすぎるのを避けて、母方の姓フェルナンデスで登録していたためだ。

 それがいまや15歳。名前でなく実力でアピールできる選手に成長した。クラブのスポーツ・ディレクター、ホルヘ・ヴァルダーノ氏も「ピッチではジダンに生き写し」と絶賛する。

 アス紙によると、そろそろU-16代表入りも囁かれている。問題はスペインをとるかフランスをとるかだ。両親はともにフランス人だが、母方の祖父母はスペイン人で、エンゾくんは2つの国籍をもっている。

 二重国籍をもつ選手の代表問題については、最近では、フランス生まれだが両親がアルゼンチン人のゴンサロ・イグアイン(レアル・マドリー)の例があった。イグアインはフランス代表ドメネク監督(当時)の招集を拒否してアルゼンチン代表入りを決めた。

 生まれはフランスのボルドーだがスペインで育って9年。エンゾくんの心がどちらかといえばスペイン寄りであっても不思議はない。チームメイトの多くがプレーし、ユーロ2008、W杯を制したスペイン代表への思い入れもあるだろう。しかしフランス人からすれば、国民的英雄ジダンの“真の後継者”がレ・ブルー以外でプレーするのは受け入れがたいはず。アス紙は、最終的には“父ジダン”の決定がモノを言うだろうと伝えている。