地図にしかない町「著作権トラップ」は本当に存在するのか
地図制作元が地図を無断で転用された場合の著作権侵害の証拠とするため、架空の町「ペーパータウン」を地図に載せているらしいという話はよく聞きますが、本当にそのようなものがあるのでしょうか?
知られざる「著作権トラップ」の詳細は以下から。
「Paper Towns」または「Copyright Traps」、「Key Traps」 などとして知られる「地図にしかない町」の存在は都市伝説のように語り継がれており、たまたま通りがかった旅行者は、あるはずの町が存在しないパラレルワールドに来てしまったような不思議な感覚に陥るようです。
地図のパクリ検知器という性質上、架空の町が有名になってしまっては意味がないため、「俺は聞いたことがない」「著作権トラップの存在自体が架空なのではないか」などとも議論されていましたが、結論から言うとペーパータウンは実在するようです。
有名なペーパータウンの一例として、ニューヨーク州アグローがあります。
Agloe, New York - Wikipedia, the free encyclopedia
1930年代にGeneral Drafting社のOtto G. Lindberg氏とErnest Alpers氏が、ニューヨーク州の田舎の何もない交差点に、二人のイニシャル(O,G,L,E,A)を並べ替えたAgloeという架空の町をつくり、Esso社の地図にAgloeが現れるようになったとのこと。
後にRand McNally社の地図にもAgloeが載ったのですが、彼らはEsso社の地図から転載したのではなく、郡の登記事務所から町の名前を得ていたと判明。
なんと、逆にEsso社の地図を見た誰かがその地に「Agloe General Store」という雑貨店を開いていた、というわけ。架空だったモノが実在する何かに変貌しています。
さらに、こちらは著作権トラップではないのですが、「地図にしかない町」として有名な一例。
Goblu and Beatosu - Wikipedia, the free encyclopedia
ミシガン州立大OBで州高速道路委員会議長であったPeter Fletcher氏が、ミシガン州立大のスローガンからGoblu(「Go! Blue」)と、打倒オハイオ州立大(略称OSU、アメフトなどのスポーツにおけるミシガン州立大の宿命のライバル)の意味でBeatosu(「Beat OSU」)という二つの架空の町を、地図の片隅のオハイオ州側に載せてしまったとのこと。
このいたずらが発覚したあと地図は訂正されたため、この二つの町が載った地図は今ではコレクターズアイテムとなっています。
PDFファイル:maps.pdf
実際には町ひとつまるごと架空な「ペーパータウン」よりも著作権トラップとしては、架空の道路や道路名の間違い、実際には直線の道路が地図上では曲がりくねっている、などの「ひっかけ道路」の方がより一般的なようです。
また、ロサンゼルスでは地図に載っていた近道を信じた若いカップルが、対立する二つのストリートギャングに挟まれた地帯に迷い込んで殺された、という都市伝説があるとのこと。
ちなみに地図会社の多くは著作権トラップの存在を否定、あるいは「道に迷って困る人が出ないように配慮して仕掛けている」と言っています。
しかし、イリノイ州のある男性は、地図で友人の家の場所が公園になっていて別の公園は全く載っていなかったので、地図会社に電話をかけたところ「著作権保護のための故意の間違いだ」と返答されたそうなので、「クレーム対応時の言い訳として地図会社が使い始めた」という説が出てくるのもある意味、納得です。
事実と異なる情報を書いてしまったとき、間違いを指摘されたときには「著作権トラップだ」と居直ってみるという手法が広く使われるようになるのかもしれません。
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