【ファンキー通信 昭和偏】“聖子派”と“明菜派”って何で仲が悪いの?

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 先日とある飲み会に出席したところ、同席していた30代後半の女性2人が口論を始めた。口の端から泡を飛ばしていがみ合っているので、「いったい何が原因か?」と尋ねてみると、何と“松田聖子と中森明菜、どちらが歌手として優れていたか”という議論でヒートアップしてしまったのだという。く、くだらねぇ〜・・・。

 だが、昭和50年代後半に青春を過ごした方々にとっては、「くだらない」で済まされる問題じゃないらしい。以前にも筆者は“松田聖子と中森明菜、可愛いのはどっちか”という議論で白熱する男たちの場に、居合わせたことがある。彼らの話によると、当時日本中の若者たちが“聖子派”と“明菜派”に分かれ、熾烈な討論を繰り広げていたというのだ。

 松田聖子と中森明菜。どちらも日本の音楽史に名を残すアイドルであることには間違いないけど、こうも引き合いに出されるのはなぜ? 今年四十路を迎える某編集者は、当時を振り返ってこう語る。

 「松田聖子がデビューしたのは、70年代を象徴するトップアイドル・山口百恵が引退した1980年。彼女はその年に発売した『風は秋色』というレコードから、24作品続けてオリコンランキング1位を獲得しました。一方、82年にデビューした中森明菜も、85〜86年に2年連続でレコード大賞を受賞。多大なカリスマ性を持つ歌姫が、同時期に2人も出てきちゃったのです。若者の間に派閥ができるのも無理ないでしょう」(某編集者 39才)

 さらに対照的な2人のキャラクター性も、ファン同士の対立に拍車をかけたのだとか。松田聖子が「KISSはいやと言っても反対の意味よ〜♪」と歌う“ぶりっ子系”であるのに対し、中森明菜は「発破かけたげる さぁカタつけてよ〜♪」と歌う“ツッパリ系”。KISSを嫌がるふりをする女性が好きな人と、発破かける女性が好きな人とでは、わかり合えなくても仕方ないではないか。

 しかし、なかには「どっちも好き!」という“どっちも派”もいたはず・・・。そういう人は、これらの話題が出た時にどうやってやり過ごしていたのだろう?

 「女子は圧倒的に“明菜派”が多かったので、私も表向きは“明菜派”として過ごしていました。逆に、男子には“聖子派”が多かったですね〜。“女子で聖子派=ぶりっ子”というイメージに見られがちだったので、学校では言い出しにくかったことを覚えています。ただ、それでも聖子ちゃんカット(当時の松田聖子をマネたヘアスタイルのこと)にしている明菜派の女子はたくさんいましたけどね(笑)」(主婦・R子さん 40才)

 みんな言わないだけで、実は“どっちも派”が大半だったのかも。ちなみにご本人同士は、意外にも(!?)仲が良いそうですよ。(安田明洋/verb)