道の駅での販売が好調な能登産イノシシ肉を使った「のとししジャーキー」(石川県羽咋市で)

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 獣害軽減へ「のとしし」猛進──。石川県羽咋市で、能登産イノシシ肉「のとしし」の特産化を目指す「のとしし大作戦」が軌道に乗り始めている。徹底した鮮度と衛生管理、レストランなどの要望へのきめ細かな対応が評判を呼び、東京や金沢などの消費地で取引先が拡大。2017年には、販売拠点となる道の駅もオープンし、のとししを使った加工品が人気を集めている。

 同市は冬場の積雪量の減少などを背景に、イノシシが急増し、農業被害が課題となっていた。捕獲したイノシシを地域の特産品として有効活用しようと、同市が中心となり始動したのが「のとしし大作戦」だ。15年に、市内唯一の獣肉処理施設が稼働し、イノシシ肉の販売が始まった。

 中核を担うのが、施設を運営する合同会社「のとしし団」。メンバーは、地域おこし協力隊の元隊員や現隊員の若者らで構成する。取引先と無料通話アプリのLINE(ライン)でやりとりして好みの部位を聞いたり、施設に直接招いて意見交換したりと、新たな発想で積極的にのとししを売り込む。年間4、5トンを販売する。

 取引先から高い評価を得る品質管理の要となるのが、徹底した鮮度・衛生管理だ。とめ刺しにはのとしし団の職員が出向き、生きている状態を確認。搬入後、1時間以内に内蔵を取り出す。カットした肉は全て番号で管理し、いつ処理したものかが分かるようにする。

 地元の販売拠点となる「道の駅のと千里浜」では、のとししを使ったジャーキーが、月に200パック (1パック 40グラム)ほどを売り上げる人気商品となっている。

 同市の元地域おこし協力隊員で、のとしし団の代表を務める加藤晋司さん(31)は「能登の羽咋といえばイノシシと言われるぐらい有名にし、持続的な取り組みにしていきたい」と意気込む。