何とか望みを繋いだハンブルク。残り3試合で最低でも勝点5獲得というノルマは決して簡単ではないが、状況的には面白くなってきた。なおこの試合、伊藤は87分にジャッタと交代、酒井はフル出場を果たしている。 (C) Getty Images

写真拡大

 4月21日(現地時間)、ブンデスリーガ第31節が行なわれ、ハンブルクは1-0でフライブルクを下した。
 
 今節にも降格の可能性もあった17位ハンブルクだが、前日に16位のヴォルフスブルクがボルシアMGに0-3で敗れたことで何とか望みを繋いだものの、後がない状況に変わりはなく、16位フライブルクとのホームゲームではただ勝利のみが求められた。
 
 いつも以上に険しい表情でピッチに立った酒井高徳は左SB、そして好調の伊藤達哉は今回も2列目左サイドで試合開始を迎えた。

 序盤に目立ったのはハンブルクの守備面で、気合の入った選手たちのなかでも、酒井は危ない場面で粘ってこれを回避し、伊藤も前線から中盤に動いてボールを引っかける場面が何度も見られた。
 
 一方、攻撃では伊藤が9分にヴァルトシュミットにスルーパスを通し、10分過ぎからは右サイドにポジションを移してカットインでペナルティーエリアに侵入した他、38分にも左からエリア内でクロスを入れたが、いずれも決定機には結びつかない。
 
 酒井は40分に左サイドを駆け上がってクロスを入れたが、これもクリアされる。精度の低さに加え、フライブルクのゴール前の堅守によって、ハンブルクはなかなかシュートまで持ち込めなかった。
 
 直近の3試合で無得点のフライブルクも長く効果的な攻撃が見せられずにいたが、徐々に縦パス1本でハンブルクのDFラインの裏へ抜け出せるようになり、チャンスを生み出してフィニッシュまで持ち込んでいく。
 
 35分にはクラインディーンストが右サイドを抜け出して角度のないところからシュート。GKポラースベックが弾いたところをフライブルクは2度続けて決定機を迎えたが、これも守護神の好守に阻まれる。
 
 42分にはクラインディーンストが今度は個人技で左サイドを突破してクロスを入れると、ペーターゼンがゴール前で合わせるが、ポラースベックの至近距離でのブロックにより、前半での先制はならなかった。
 
 守護神の好守連発に救われたホームチームは、後半は立ち上がりから攻勢。ファーストシュートを放ち、速い攻めから左サイドを攻略して何度か相手ゴール前にボールを運んでいく。
 
 そして54分、ハンブルクはヴァルトシュミットがペナルティーエリア内で突破しようとしてこぼれたボールをホルトビーが広い、細かいドリブルでCBソユンジュをかわしてシュート。ボールはクロスバーを叩きながらもゴールラインを越えた。
 
 待望の先制ゴールを得たホームチームは直後にFWのウッドを投入し、より攻撃への意識を強めて敵陣で試合を進めていく。59分にはFKから、ウッドが流れてきたボールをトラップして追加点のチャンスを迎えたが、これは枠を捉えられない。
 
 守備でも圧力が増し、フライブルクに攻撃を許さず、多重攻撃を仕掛けていくハンブルク。64分にはカウンターからハントのパスを受けた伊藤がエリア内で相手DFに仕掛けて抜け出し、決定的なシュートを放つも、飛び出したGKシュボロフにブロックされた。
 
 66分にも効果的なカウンターを見せ、ハントがドリブルで進んでエリア内で横パス。これを酒井がダイレクトで合わせるも相手DFに当たり、こぼれ球をコスティッチがボレーで叩いたがシュボロフが正面でキャッチする。酒井は67分に、ホルトビーへスルーパスを通してチャンスを提供した。
 
 攻勢のホームチームは74分、さらに大きなアドバンテージを得る。フライブルクのCBソユンジュがコスティッチを倒して2度目の警告を受け、退場処分となったのだ。
 
 数的優位に立ったハンブルクはポゼッションで上回るが、これをチャンスに結び付けるまでには至らず、逆にフライブルクの少ない人数での攻めや自身のミスで危ない場面を迎えたが、それでもポラースベックの好守などでゴールは許さない。
 
 90分にはウッドが完全に抜け出し、GKやDFを引きつけておいてコスティッチにラストパスを送るも、この決定的なシュートは懸命に寄せたDFにブロックされる。
 
 追加点のチャンスは活かせなかったものの、ハンブルクはアディショナルタイム4分を優勢に進め、最後はフライブルクのFKで上がってきていたシュボロフのシュートを浴びるも、これもクロスバーを大きく越え、間もなく試合終了のホイッスルを聞いた。
 
 これでフライブルクとの勝点差は5。まだ厳しい状況に変わりはないが、残留争いは面白くなってきた。次節(4月28日)はヴォルフスブルクとのアウェーマッチで、ここで勝つようだと、残り2試合がフランクフルト、ボルシアMGという強敵相手とはいえ、何が起こってもおかしくはない。