「済州の暴力はサッカーへの恥辱」 ACL浦和戦の愚行、韓国紙上で英公共放送通信員が断罪

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韓国メディアの英語版で済州の蛮行を糾弾する特集が組まれる

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦、浦和レッズ済州ユナイテッド(韓国)の第2戦で起こった済州による前代未聞の退場劇や暴力行為という蛮行は欧州メディアでも問題視され、波紋を広げている。

 韓国メディアの中には「浦和にも非がある」と驚きの報道も出るなか、「ザ・コリア・タイムズ」英語版で英公共放送「BBC」のアジア通信員が寄稿。済州の愚行を「済州ユナイテッドの暴力はサッカーへの恥辱」と断罪している。

 韓国チームの衝撃的な暴力事件の余波はいまだ収束を見ようとしていない。欧州各国メディアが「アジアフットボールの宣伝にならない」などと批判を強める一方、韓国紙「スポーツ韓国」は「浦和にも非がある」と世界で巻き起こる糾弾の声に対抗していた。

 そんななか、韓国の英字紙「ザ・コリア・タイムズ」では全面的に韓国チームの蛮行を糾弾する特集が組まれた。

済州ユナイテッドの暴力はサッカーへの恥辱」という特集の筆者はジョン・デュアーデン氏。BBCのみならず、ニューヨーク・タイムズ、ESPN、ガーディアンなど欧米の大手メディアで通信員を務めているアジアフットボールのスペシャリストだ。記事ではこう報じている。

「韓国サッカー界にとっては最高の一週間ではなかった。U-20代表はU-20ワールドカップの決勝ラウンドのポルトガル戦で敗退した。あまり知られず、あまり話題となっていないが、もっと酷い敗退がある。それはアジア・チャンピオンズリーグからの済州ユナイテッドの敗退だった。これも決勝ラウンドでのことで、それはKリーグにとってポジティブなイメージではない」

小競り合いは「当たり前の光景」も…

 自国開催となったU-20韓国代表の敗戦ほど、ACLで韓国勢唯一の生き残りだった済州の敗退は韓国で話題になっていないという。だが、済州の負けっぷりはKリーグの対外的な印象を悪化させるものだったと言及している。

 この試合前、済州は本拠地初戦で浦和に2-0と勝利し、8強進出に有利なポジションにいた。だが、埼玉スタジアムで行われた第2戦で興梠慎三と李忠成の両FWに前半にゴールを奪われ、2戦合計2-2と同点に追いつかれた。そして、延長後半にDF森脇良太に劇的な決勝弾を許し、敗退が決まった。

 この試合の終了間際に異常事態に陥った。

 記事では「フットボールの世界でよくあることだが、浦和は総力を使い、時間を浪費した。そして、済州にゴールを決める時間を与えなかった。1点が必要な時には、信じられないほどフラストレーションが募るものだ。しかし、時間は急速に失われている。対戦相手がプレーを止め、時間を浪費するために全力を使う時に、白熱することもある。そんな状況でのちょっとした押し合いは当たり前の光景だ」と指摘。終了寸前の浦和のプレー選択は勝利への常套手段で、これで苛立つ相手が怒りのリアクションで小競り合いに発展することは間々ある光景だと報じている。

 だが、済州の行動は度を超えていたと断定している。

済州の異常行動は「醜悪だった」

「だが、そこでは爆発があった。爆発以上のものだ。押し合いへし合いがあった。それとは別の問題があった。済州は例外的な戦術を徐々に選んだ。これはペク・ドンギュがベンチから飛び出し、ピッチの逆サイドにいた浦和のキャプテン、ユウキ・アベを殴り倒した際にクライマックスを迎えた。まるでラリアットに見えた」

 浦和は勝ち越し点を奪った後、敵陣コーナーフラッグ付近でボールをキープ。ファウル後に済州ボールとなったが、済州の選手が浦和FWズラタンとFW興梠慎三に突進してもみ合いに発展。仲裁に入ったMF阿部勇樹に対し、ベンチからサブの選手であるDFペク・ドンギュがビブス姿でピッチに乱入すると、80メートルをダッシュ。阿部にジャンピングエルボーを見舞い退場となった。

 だが、この異常行動は済州の蛮行のクライマックスではなかった。「カオスはすぐに起こった。試合終了のホイッスル後も済州の選手たちは浦和の選手をフィールド中で追い回した。スタッフと幹部も加わった。韓国の島(済州)の美しさと同じぐらいの醜悪さだった」

 韓国のリゾート地を本拠地する済州ユナイテッドの行動は醜悪と一刀両断されている。

「済州はすでに敗退した。さらなる罰が確実に下される。この行為は受け入れがたいので、下される必要がある。済州は集団的な冷静さに加え、プロフェッショナリズムらしきものも全て失った。チームにはレフリーの判定に対する不服を感じ、浦和の戦略に苛立つ権利もある。しかし、こんなことはサッカーの世界で起こってはならない。済州のしたことは起こってはならないことだ」

済州に厳罰でも「反論の余地などない」

 記事では済州の愚行に対して言い訳の余地を与えずに断罪している。浦和はすでにアジアサッカー連盟に抗議文を提出しているが、「完全に正しい」と指摘したうえで、「済州のあんな行為は受け入れ難く、恥ずかしい。韓国サッカーにとって、だ」と酷評している。

 そして、最後に済州に待っているのは厳罰と断言している。

「罰がやってくる。下されなければならない。厳しい可能性も当然ある。他の国で夜にカオスを起こした後、穏やかな朝、島に戻ってきた済州は罰を命じられたとしても、反論の余地などないのだ」

 済州のチョ・スンファン監督は試合後、「浦和の選手の一人が、勝利のセレモニーを私たちのベンチの前でしたので、私たちの選手たちを刺激した」と浦和側を暗に批判。韓国メディアの中にも「浦和にも非がある」と主張する声があったなか、デュアーデン記者は「反論の余地なし」と、愚行の韓国チームに厳しい鉄槌を打ち付けていた。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images