渋谷の奥はグルメの聖地!美食巡りに行きたい名店10選

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美食の街というと銀座、六本木あたりを思い浮かべる人が多いですが、いえいえ、実は「渋谷の奥」が意外にも熱いスポットなんです。代々木公園や神山町、富ヶ谷など、「渋谷の奥」の美味しいお店を10店ご紹介!

ワインと美食が待つしあわせな日常。これぞ神山町ナイト『オステリア アルコ』

ピエモンテ地方と言えば、バローロやバルバレスコを生むイタリアきっての銘醸地。修業時代をピエモンテで過ごし、深淵なるワインの味と郷土料理の奥深さに魅了された岡田圭介シェフ。

帰国後は静岡・三島の『ヴィラ ディ マンジャペッシェ』などで新鮮な食材と向きあいながら腕を磨き、一昨年末に『オステリア アルコ』を開いた。

岡田シェフは「特別な場合を除き、魚は使わない」ときっぱり。メニューを絞り、牛テールのブラザートやウサギのロトーロなど代表的な料理に手をかけて北イタリア料理の魅力を伝える。

タヤリンはバターとパルミジャーノでシンプルに、あるいはトリュフを添えて贅沢に、箱根西麓野菜のバーニャカウダも牛乳を使わないクラシカルなソースでと、どの皿にも伝統への敬意が滲む。

ワインも全て自ら選ぶが、ピエモンテ偏愛ぶりといったら!伝統的な造り手のものから土着品種を使った希少な地酒まで取り揃え、良心的な値付けが「もっと飲んで」と誘う。

注文をアラカルトにしたのも「ワインと合わせて好きに楽しんでほしいから」。

小さな店だが、すっきりシンプルな設えでテーブルは広く、ゆったり食事ができる。ビストロやワインバーの多い通りにあって、きらりと光るイタリアンの良店だ。

お次は日々味が進化するカウンターフレンチ!

かりそめの恋には相応しくない熟成途上の皿。『シャントレル』

代々木上原の駅を降りて、東に少し戻る駅前の道。ちょっとだけ蛇行するそれを5分ばかり歩くと、右手にほんのりとオレンジの灯りが見える。「慣れ親しんだこの町でしか、店を開くつもりがなかった」

2010年末、7年務めた『ブラッスリー・ラルテミス』料理長を辞した中田雄介氏が、代々木上原『シャントレル』で独立した。ドアを開けると目に飛び込むのはインドネシア産チーク材のカウンター、右手奥にオープンキッチン。手前にサービスマンの動線を取り、厨房は一段奥まった場所に位置する。

椅子に座るとほどよい距離に中田氏の姿が目に入る。彼の勝負時の顔がそこにはある。

「見た目の華やかさより、実直な味の良さ、直球のアプローチが持ち味」と自らの個性と立ち位置を再確認した中田氏が店名に選んだのは、フランス・オーベルニュ『レジス・マルコン』修業時に出合った、シャントレル。秋から冬に連日、きのこ狩りに出かけた山で、雪深くなる12月まで力強く生き抜くこのきのこに、自分を重ね、目標を思った。

青山『ラ・ブランシュ』田代和久氏はじめ、厳しい師匠の下で薫陶を受けたという点では、中田氏はある意味、旧い世代に属するのかもしれない。時に打たれ、時に褒められて得た血肉があるからこそ、緩急をつけた料理が提供できる。

「まだまだ、『シャントレル』としての料理の完成形には至らなくて」と、彼は少し顔を曇らせるが、きっと1年後だって、同じことを言うだろう。例えば「タスマニアサーモンの瞬間燻製」が時を追うごとに少しずつ進化しているのは、その象徴だ。
ゴールはなくて、完全はなくて、少しずつ変化して、ゆっくりと熟成して。

だからこそこの店に誘っていいのは、その変遷を共有したいと心から願う相手だけ。かりそめの恋には似合わない。そんなレストランが久しぶりに、東京に現れた。

使い勝手の良さが最高!ナポリピッツァと旨いアテが待つお店

キーワードは“共感”小さな食空間が人と人とをつなぐ『ルカナル』

東京のバールやバルは、どんどん自由度を増している。イタリアン、スペインといった枠は不要、使い勝手がよくて、旨い料理と酒がある場所に人が集まる。そんな今の空気を象徴するような店が富ヶ谷にある。

小さな店内に鎮座するのはピッツァの薪窯。が、メニューの黒板にはパテ・ド・カンパーニュに自家製ソーセージ、ボケロネスなどジャンルを超えた「ワインのアテ」が並ぶ。

店主の奥村哲也さんはイタリアンやフレンチの店で働くこと10年、40歳になる前にひとりでできる店で独立を、と考えた。

ちょうどその頃、現『聖林館』の柿沼進さんの下でナポリピッツァを学んだピッツァ職人の寺嶋繁之さんと出会い、「ナポリピッツァと小皿料理の店」で行くことに。

料理の担当は奥村さん。美桜鶏のピッツァ窯ローストや窯焼き温野菜など窯をフル活用して定番料理に“店らしさ”をプラスする。

高温でぎゅっと風味を凝縮させた肉や野菜の旨いこと!ゆっくり飲んでつまんで締めにピッツァでもいいし、ひと皿と1杯でも立ち寄れる。

出店先にこの地を選んだ理由は「常連が付く土地だと感じたから」だと言う。

でも2011年の開店当初から、「また明日」と店を出る客がいるのは、立地の恩恵だけではなさそうだ。

お次は、ファッション✕コーヒーの大人の秘密基地カフェ!

ファッションにコーヒー、母の味がある小空間『ミー ミー ミー』

わずか5坪の店内に、焼き菓子のケースが置かれた小さなカウンターとテーブルがあり、あちこちにユーズドの時計やネクタイ、アクセサリーなどが並ぶ。カーキ×レンガの壁にアンティークの家具がしっくりと馴染む空間は、どこか秘密基地めいた雰囲気だ。

店主は晴航平さん。元々大のファッション好き、アパレル中心の物販の店をと考えていたが、「ただモノを売るより、コミュニケーションが生まれる飲食店に魅力を感じた」とカフェを開くことに。

渋谷『STANDS』の立ち上げに関わるなど、飲食での経験もあったし、料理上手な母はるさんの存在にも背中を押された。

店の料理は全てはるさんが手掛けるが、これがまたクリエイティブ。

マッシュポテトにシソを練り込んだり、野菜満載のスープ仕立てのグラタンに味噌を使ったりと発想はかなり自由だが、味わいは優しく、たっぷりのボリュームもするりと胃袋に収まる。

店があるのは渋谷東急本店通りの一角。

「いい店がいっぱいあるけど、意外とカフェは少ない。飲んだ帰りにコーヒーを飲みに寄ってくれるのも大歓迎」と晴さん。独自のセンスで魅せ、使い勝手と居心地の良さで和ませる。

今までにない店が生まれたのは、またもこの神山町界隈である。

まだまだあります、渋谷の奥の名店 Part1

『プティバトー』

肩肘張らずに上質な料理が楽しめる、カウンターフレンチ。もちろんコースもあるが、基本はアラカルト主体。気分に合わせて、フレンチを堪能できる。

『ピニョン』

開放感あるガラス張りの入口が目印。定番のビストロ料理をはじめ、自家製メルゲーズやモロッコ風サラダなどのマグレブ風料理も各種揃っている。

『クリスチアノ』

東京でも珍しいポルトガル料理の店。鮮魚や肉を多用し、素材感を活かして作る独特の料理を、90種近く揃うポルトガルワインと共に楽しめる。

まだまだあります、渋谷の奥の名店 Part2

『すし久遠』

おまかせコースは握り10貫程度とつまみ10品が交互に登場するスタイル。名店で20年以上に亘り修業を積んだ野口智雄氏の技が遺憾なく発揮される。

『鮨 五徳』

穴子の紫蘇バター焼きや焼き茄子のムースなど、一風変わった酒肴が揃うが、対して握りは基本をしっかり守った江戸前。気鋭の職人技がきらりと光る。

『カーサ ヴェッキア』

肉、魚をちりばめた前菜に、全24種のパスタ、数種から選ぶメインなどのコースは価格以上の満足度。ワイン片手に寛げる、心地良いイタリアン食堂だ。

いかがでしたか? 渋谷の奥って、こんなにもグルメが集まる穴場スポットだったんです。ぜび美食巡りにでかけてみては?