店内には英語、中国語、 韓国語で書かれた遊び方ガイドが

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昨年のパチンコ遊技人口は約970万人(「レジャー白書2014」より)。ピーク時の3千万人から比べると3分の1になってしまった。

そんな苦境を吹き飛ばせとばかり、新たなチャレンジを始めたパチンコ企業がある。業界最大手のマルハンだ。

「このところの外国人観光客数の伸びはすさまじい。だったら、日本初のインバウンド(訪日外国人旅行)対応店をつくり、日本にやって来る外国のお客さまにパチンコの楽しさを知ってもらおうと考えたのです。パチンコは日本独自の遊技。世界に向けて、日本文化の発信もできるのではと期待しています」(マルハンの広報担当・下田健二朗氏)

そこで早速、日本初となるインバウンド対応店舗「マルハン新宿東宝ビル店」(東京都新宿区)を訪ねてみた。

歌舞伎町にある同店は、巨大なゴジラの頭部オブジェで話題のビルの2階にあり、1160台の設置台数を誇る。

エントランスに入ると、まず目につくのが「First−time Pachinko」と大書された外国人向けのパネル。その脇には英語、中国語、韓国語で書かれたガイドブックも。パチンコの遊び方や注意点がイラスト入りで詳しく説明されている。

同店の齋藤錬マネジャーがこう話す。

「店内には英語、中国語、韓国語、スペイン語に堪能なスタッフが待機。外国人客からリクエストがあれば、つきっきりで貸し球の方法、ハンドルの握り方、リーチパターンの説明などパチンコの遊び方を教えています」

店内の表示はすべて多言語対応。景品カウンターには「JAPAN」コーナーがあり、和傘や日本酒、富士山の置物なども並んでいた。

まさに至れり尽くせり。これなら外国人客もたくさん来店しているはずと思いきや、あれれ、フロアを探してもそれほど見当たらない…。齋藤マネジャーが語る。

「いらっしゃるのは中国、台湾からのお客さまが多いですね。ただ、オープンしたばかりで宣伝ができていないせいか、数はまだそれほど多くない。本当に初歩からパチンコの遊び方を教えるのは1日に2、3人といったところでしょうか。それも観光の途中とあって、2、3時間ほど遊んで帰られる方がほとんどです」

しかし、マルハンでは2020年東京五輪に向けて外国人観光客はさらに増えると見込んでおり、今後、関西、九州などにもインバウンド対応店を出店する意向だとか。パチンコ業界誌記者は次のように言う。

「確かに、今はまだ少数でしょう。でも、インバウンド対応パチンコ店の存在が口コミで広がり、外国人向け旅行ガイドなどに情報掲載されれば、それなりの数の外国人客が来店することになるのでは。マルハンと同じ狙いのパチンコ店も少なくないようで、東京・有楽町のパチンコ店脇の景品交換所ではドル、ユーロ、中国元の外貨交換を行なっているところも現れました。いずれも、外国人客の取り込みを狙っているのです」

家電量販店やドラッグストアなどには“爆買い”する中国人客など連日、多くの外国人観光客が押し寄せている。果たして、訪日外国人客はパチンコ業界にとって救世主となるのか!? 要注目だ。

(取材・文/姜 誠)