“神様”ベーブ・ルースに並んだイチロー【写真:田口有史】

写真拡大

新指揮官の初陣で歴代42位のメジャー通算2873安打、「スズキがルースに並んだ」

 マーリンズイチロー外野手は18日(日本時間19日)、本拠地でのダイヤモンドバックス戦に「8番・センター」で先発出場し、4打数2安打1四球と活躍した。メジャー通算2873安打として、“野球の神様”と言われるベーブ・ルースと並んで歴代42位タイに浮上。このニュースをMLB公式サイトは「スズキが通算安打でルースに並んだ」との見出しで取り上げ、試合前にイチローが新監督にネクタイをプレゼントした粋な演出も現地で話題となっている。

 成績不振を理由にマイク・レドモンド前監督が解任され、GMから転身したダン・ジェニングス新監督の初陣となった一戦。当初発表されたスターティングメンバーにイチローの名前はなかったが、急遽、2試合ぶりの先発出場が決まった。

 記事では「イチロー・スズキは本来は月曜日のマーリンズのラインアップにいなかったが、マルセル・オズナが個人的な事情で欠場したことでベテランはメンバー入りし、マイルストーンを成し遂げた」と伝えている。

 イチローは3回の第1打席で相手先発デラロサから左前打を放ち、ルースと1本差に。さらに、5回の第2打席でも絶妙なバットコントロールで三塁後方に打球を落とし、2打席連続の左前打でルースに並んだ。

「次の目標はメル・オットの2876本」、歴代38位まで短期間で“ごぼう抜き”の可能性も

 その後は遊ゴロ、ニゴロと凡退。チームが延長13回に勝ち越されると、イチローはその裏の攻撃で1死から四球を選ぶも、二盗に失敗。一度はセーフと判定されたが、ダイヤモンドバックス側がチャレンジしてアウトに。チームは2−3で敗戦した。

 ただ、メジャー通算3000本の金字塔も迫っているイチローの安打数への注目度は米国内でも高い。MLB公式サイトの記事では、「通算安打リストの次(の目標)は、もう1人の野球殿堂入り選手、メル・オットの2876本だ」と指摘。歴代41位も往年の名選手だが、わずか3本差と迫っている。

 「個人的な事情」でこの日の試合前に帰宅したオズナは、このまま数試合欠場するとの報道も出ている。ムードメーカーでもある強打者の不在はチームとしては痛いが、その間はイチローがスタメンで出続ける可能性が高い。歴代38位のザック・ウィート(2884本)までは11安打の間に4人が入っており、短期間でイチローが“ごぼう抜き”する可能性も十分にある。

 ジェニングス新監督の初陣を飾れなかったマーリンズだが、試合前の雰囲気作りにはイチローが一役買った。ベンチでユニホーム姿の新指揮官にネクタイを付け、周囲の笑いを誘ったことを米スポーツ誌「スポーツ・イラステレイテッド」(電子版)が取り上げている。

新監督の緊張ほぐす粋な演出、「新しいボスの転職に対するイチローの手助けの一種」

 記事では「マイアミ・マーリンズのGM、ダン・ジェニングスは今や現場の監督だ。だから、イチロー・スズキはジェニングスが2つの責務を果たせるよう、ユニホームに反映させる方法を見つけた」とユーモアを交えて伝えた。

 ジェニングス氏は1986年にレッズのスカウトに転身するまで高校の野球チームで指導経験を持っているものの、メジャーリーグの監督を務めたことはなかった。2002年からマーリンズのフロントに入り、13年からGMに就任。オフにはイチローの獲得に尽力し、日本での入団会見にも出席した。そんな人物の緊張をほぐそうと、レジェンドは粋な演出を用意していたのだ。

 記事では「ジェニングスは確かに野球のユニホーム姿よりもネクタイをしている方が自信ありげに見えた」と指摘。ジェニングス氏は、これからユニホーム姿で仕事を行うことになっただけに「新しいボスの転職に対するイチローの手助けの一種だ」としている。

 わずか38試合でレドモンド前監督が解任されるというショッキングなニュースが駆け抜けたが、チームは持ち味の明るさを忘れていない。異例の転身を遂げた新監督の手腕、そしてイチローの安打数にも注目が集まる中、借金7となったマーリンズだが、反撃に出られるだろうか。