2016.03.17Birthday Stories Vol.12『春の日の十九歳』加藤 千恵三月の終わりにやってくる自分の誕生日が、昔から嫌いだった。ちょうど春休みと重なっていて、学校の友だちにもお祝いしてもらいにくい。みんな次の学年への期待や不安を膨らませるのにいっぱいで、わたしの誕生日のことなんて忘れてしまっている。だけど今年は楽しみにしていた。大学生になって、生まれてはじめて、彼氏ができたからだ。ずっと憧れてやまなかっ