2016.02.19Birthday Stories Vol.11『その薄紅のはんぶんの』日野 草「……何かあったの?」テーブルについた彼女に、勇気を振り絞って訊いてみた。彼女は、ふう、と息を吐く。休日午後のスターバックス。郊外とはいえ、座席を確保するのは大変だった。見せたいものがあるんだ、と言われて来たのだが、向かい合って五分ほど。彼女は一言も喋らない。時折、出入り口のほうを窺っている。どうにも挙動不審だ。これは、あ