東海大菅生vs都立城東
先制本塁打を放った毛利乾太郎(都立城東)
春季大会シード校が登場する3回戦。神宮第二球場での第一試合は、東海大菅生vs都立城東。
東海大菅生は昨秋の優勝校で、先日は選抜甲子園にも出場し、今大会も優勝候補筆頭。対する都立城東は1回戦から登場し、2勝して3回戦を迎えた。試合前から強い雨が降り続いており、グラウンドコンディションは良くない状態で試合が始まった。
東海大菅生の先発投手は、プロ注目である勝俣 翔貴(3年)ではなく、甲子園でも投げた17番・羽生 優太(3年)が先発。勝俣は一塁手での出場だ。 羽生は立ち上がりから制球が高めに抜けてしまっていた。2回表には都立城東の7番・毛利乾太郎(3年)に、打った瞬間わかるソロ本塁打を浴びてしまい、都立城東に先制を許してしまった。しかし、東海大菅生も、2回裏の攻撃で7番・本橋 実生(2年)が一死三塁から犠牲フライを打ち上げ、すぐさま同点に追いつき1対1とする。
4回裏、東海大菅生の攻撃。都立城東は好投していた先発の石田翔太(2年)に代えて、右下手投げの渡邊健太(3年)にスイッチ。都立城東・平岩 了監督も、「試合前から決めていました」と言うように渡邊も期待に応えて、この回をしっかり抑えた。
同点で迎えた6回裏の東海大菅生の攻撃は、3番の好打者・勝俣 翔貴から。勝俣は四球を選び、4番・江藤 勇治(3年)の右翼線タイムリー三塁打で1点追加。続く一死三塁から5番・伊藤 壮汰(2年)が犠牲フライを打ち上げ、さらに追加点を挙げ、3対1とする。都立城東の渡邊からなかなか打てなかっただけに、貴重な2点の追加点だ。
7回には両校1点を加えて4対2と東海大菅生リードで迎えた8回表の都立城東の攻撃。東海大菅生は前の回から山口 淳久(3年)投手に代わった。山口は3番・内藤健(3年)から3連続で四球を出してしまった。満塁のピンチになってしまったところで、一塁手でスタメン出場していた勝俣がリリーフでマウンドへ登った。
勝利に繋がる好リリーフ・勝俣投手(東海大菅生)
勝俣の登板に、東海大菅生・若林 泰弘監督は、「使いたくなかったですけどね」と本音をもらす。6番・木曽は凡退するも、7番の本塁打を放っている毛利が四球を選び押し出しで1点。続く8番・小倉 竜也(3年)の放った打球が相手の守備のミスを誘う形になり、この間に走者2人が生還して、都立城東が5対4とついに逆転した。
都立城東・平岩監督は、「最終回ではなく、ここを抑えれば、うちに勝機が来ると思っていました」。平岩監督がターニングポイントに挙げた8回裏。都立城東は渡邊に代えて、右上手投げの関根智輝(2年)に代える。だがミスからチャンスを与えてしまい、同点に追いつかれてしまった。
9回終了時点で5対5。大会規定によりここからタイブレークが実施された。タイブレークに入ると、無死一、二塁からの攻撃となり、9回からの続きの打順ではなく、先頭打者を自分たちで選択することができる。都立城東は3番内藤 健(3年)から攻撃を選択したが三者凡退。
東海大菅生は2番・沢田 翔人(3年)から選択した。捕手からの牽制球で二塁走者が飛び出してしまうも、送球間に三塁へ進塁。無死一、三塁の場面で、澤田が適時打を放ち、走者が生還しゲームセット。東海大菅生がタイブレークで苦しみながらも都立城東に6対5で勝利した。
東海大菅生・若林監督は、「負け試合でした。全体的に集中力が欠けていましたね」選抜が終わってから練習試合は5試合行ったそうだが、春夏連続出場を目指す上で、まだまだ課題はあるようだ。
昨秋の優勝校である東海大菅生を追い込んだだけに、悔しい敗戦となってしまった都立城東。平岩監督は試合について、「継投は最初から決めていました。今日投げた3投手は想像以上のピッチングをしてくれました」と良かった点を前置きした上で、「ただ、守備がこの天気だったから予想していないミスも出てしまった。夏まで3か月準備期間がありますのでもう一度やり直しです」
互角に戦えていたからこそ、悔しい気持ちが滲んでいた。
(文=高校野球ドットコム編集部)