安藤美姫オフィシャルウェブサイトより

写真拡大

 やまもといちろうです。年始の挨拶回りをやっていたら、回り切れずに腰を痛める結果になってしまいました。フィギュアスケートの人たちみたいに、ひとジャンプで3軒ぐらいご挨拶先を回れると楽なんですけどねえ…。

 ということで、年始は安藤美姫がネットに新恋人と自身のお子さんとの3ショットを掲載したとかで騒ぎになっていました。といっても、安藤美姫がどうのというよりは、むしろ「そういうことをしてくれるな」と文句を垂れられていましたね。

 なぜか我らが小倉智昭せんせも某番組で本件にコメントを寄せ、さらにネットで炎上するという素敵なコンボを繰り広げておられます。正直言うと、フィギュアスケートはテレビ局にとってもとても大事なコンテンツで、何より競技性や芸術性といった老若男女誰もが楽しめるスポーツですから、いわばお得意さんです。私で言えば年始の挨拶回りの対象です。そういう方面に向かって、小倉せんせがいろいろ論点その他をずらさずに真正面から評価を物を申すというのは結構画期的なことだと思うんですよね。

 まあ、小倉せんせもご指摘どおり、ネットではいったん叩かれキャラになりますとなかなか鎮火しませんからね。叩かれる理由も、実はあんまりよくわかりません。若いころは可愛かったのにいまでは泉ピン子状態だとか、私生活がだらしないのではないかとか、そういうのはすべて外側からの意見ですしね。

 サイゾーウーマンでも、安藤美姫の豪快な叩かれっぷりが書かれているけど、理由に対する言及は無し。たぶんよくわからん、というのは同感です。

 で、一連の安藤問題について苦言を呈したフィギュアスケート協会に対しては、むしろ「安藤美姫が誰と交際しようと、どんな写真をアップしても自由なんじゃないの?」という内容で、こっちはこっちで叩かれています。なんか気の毒なことです。

 まあ、言いたいことはもちろんよくわかるのですが、これはフィギュアスケート協会が前近代的だというよりは、前にも述べたとおり「フィギュアスケートという競技の人気を支えているのはある種の芸術性であり、それを損ねると老若男女日本人全員が楽しく観られるコンテンツでなくなってしまい、人気が凋落してしまう」という危機感があるからなんだろうと思うわけですよ。芸能界が所属事務所のタレントの交際情報を制限しているのと、やや似ている状況があると思います。

 一方で、フィギュアスケート協会自体は、文字通り浅田真央の人気と実力に長年頼ってきて、彼女がうっかり引退すると一気に客離れを起こしてしまうかもしれないという恐怖もあると思うんですよね。だから、本人としてはソチ五輪が終わって引退も視野に、となった瞬間からスポンサー筋その他からあらゆる問題が迫ってきて、文字通り「辞めるに辞められない」状態になってしまっている。

 そうでなくとも、浅田舞の不自然な露出もそうですけど、かねてから浅田家については本来ならばとっくに週刊誌ネタにでもなっていた様々なトピックスもうまい具合に隠蔽をされてきました。それというのは、まさに国民的スポーツであるフィギュアスケートの人気を一人で牽引してきた浅田真央と、その家族の葛藤や、周辺の気遣いもあるのでしょう。

 遠巻きからしか見えない華やかな世界ではありますが、その内情もまた、競技性や芸術性と同様に繊細にできているようです。やはりフィギュアスケート界隈もいろんな大人の事情や情欲やカネが蠢く普通の世界なのだ、と改めて感じる次第なのであります。

著者プロフィール

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/