シーソーゲームを制す・鹿児島実

サヨナラ勝ちを収めた鹿児島実

 鹿児島実と神村学園。どちらも鹿児島を代表する甲子園常連校だ。1年生の大会とはいえ、ハイレベルな好ゲームを期待したが、良くも悪くも1年生らしさが際立った一戦だった。

 同点で迎えた4回、神村学園は二死二三塁からショートゴロ悪送球で2点を勝ち越す。鹿児島実はその裏、二死一二塁から8番。西村大智がライトオーバー三塁打を放ち、同点に追いつく。

 5回は5四球の押し出しとけん制悪送球で神村が2点を勝ち越せば、鹿児島実はその裏、6番・中村天のセンターオーバー三塁打と7番・喜岡大晟のレフト前タイムリーで3点を奪って逆転する。

 7回に鹿児島実が西村のこの日2本目となる走者一掃の左中間二塁打で3点を勝ち越し、これで勝負あったかに思われたが、神村学園も終盤に粘りをみせる。

 8回に9番・山下理斗のソロホームラン、9回は1点差に詰め寄ってなお二死一塁の場面で、代打・黒島一真がライト線三塁打を放ち、土壇場で試合を振り出しに戻した。

 タイブレークによる延長の気配も漂ったが、鹿児島実は9回裏、相手のエラーで決勝点を挙げ、2時間41分のシーソーゲームに決着をつけた。

 9失点のうち、ホームランの2点を除く7失点にエラーや四球が絡んだ。「1年生なので試合経験の少なさが出てしまった」と宮下正一監督。投手を含めた守備面では大きな課題が残ったが、6本の長打を放つなど打線の底力は発揮した。中でも8番・西村は5打点と気を吐いた。「普段、そんなに打てる選手じゃないけど、中学時代、種子島中で全国制覇を経験しているだけあって何かをもっている。コツコツ努力を重ねた成果」と宮下監督もたたえていた。

(文=政 純一郎)