畳み掛ける集中打で4試合連続2桁得点

先発・長井陸(阪南大高)

 新チーム結成から20日後には公式戦を迎える。甲子園で勝ち残ったチームの宿命だが、大阪桐蔭は2回戦で懐風館を10対0で破ると3回戦、4回戦も2桁得点で圧勝。スコアから見れば調整不足は全く感じられないがそれは入念な準備の賜物でもある。

 この日の相手、阪南大高の先発はアンダースローの長井陸(2年)。「秋は変則タイプの投手は打ちにくい」と西谷監督は警戒していたが引退した3年生のサポートが大きな力になっていた。「昨日、3年生のアンダースローのピッチャーに投げてもらいました。1、2年生にはそういうタイプがいないので。いい準備が出来ました」

 初回こそ三者凡退に終わったものの、2回に打線がつながる。二死一、二塁から「来た球を打とうと思って打席に入りました」という8番・谷口 一樹(2年)がスライダーを捉えると、打球はレフトの頭上を越える先制の2点タイムリーツーベース。試合後には「昨日やった効果がありました」と笑顔でこの一打を振り返っていた。この後更に連打が続き、あっという間に打者一巡の猛攻で6得点。畳み掛ける集中打の伝統はしっかり受け継がれていた。

田中誠也(大阪桐蔭)

 3回にも二死から7番・杢田竜輝(2年)がフォアボールで出塁すると谷口、田中 誠也(2年)の連打と相手のワイルドピッチで2点を追加。二死ランナー無しで下位打線という状況からリードを広げた。序盤で大量8点の援護を受けた先発・田中はキャッチャーの谷口が「コントロールが良かったのでリードしやすかった。ブルペンから良かった」と話す通り、2者連続三振の立ち上がりから快調にアウトを重ねていく。そのまま7回を投げ抜き4安打1失点。エースとしてしっかり試合を作った。

 最終回には先制タイムリーを含む3安打の谷口に代えて、吉澤 一翔(1年)がマスクをかぶる。「8月に練習試合ができてないので。いいキャッチャーですけどまだ経験値無いんです。1イニングでも何か勉強になってくれれば」と西谷監督が期待を寄せる1年生。旧チームからレギュラーの福田 光輝(2年)、青柳 昴樹(2年)が主軸を務める打線は中山 遥斗(1年)、永廣 知紀(1年)の1年生コンビが1、2番を任されるなど新戦力の台頭も目立つ。

 甲子園で優勝した翌日も練習しており、新チームになってからまだオフが無いという大阪桐蔭が、4試合連続2桁得点と王者の風格を漂わせながらベスト8へ駒を進めた。

(文=小中 翔太)