繋ぐ野球を意識した南稜、両チーム無失策試合を制す

犠飛を打つ3番・長岡(大宮西)

 2012年春に関東大会出場を決め、今夏ベスト16に進出した南稜。鈴木監督の指導の下、攻守でまとまりのあるチームに育てる大宮西との対決。両チームは昨秋も南部地区代表決定戦で対決をしており、3対2で大宮西が制している。南稜としてはリベンジを果たしたいところだ。

 試合は初回から動く。 1回表、大宮西の攻撃。2番高田が死球で出塁すると、盗塁、暴投で一死三塁のチャンスをつくることに成功。ここで、3番長岡の犠飛により、まず大宮西が先制点を挙げる。

 するとその裏、南稜も反撃。1番小堺が左適打で出塁すると、2番石井の犠打、3番小暮の右中間適時打で1点を返す。

 やられたらやり返す、そんな野球が6回にも見られた。6回表の大宮西の攻撃は、1回表の得点シーンとよく似ていた。2番高田が四球で出塁すると、3番長岡の内野ゴロの間に高田は2塁へ。その後、暴投2つの間に1点を挙げた。

 6回裏の南稜の攻撃では、3番小暮の左二塁打の後、4番飯塚の同じく左二塁打で一死二三塁のチャンスを作る。続く、5番盛田の内野ゴロの間に三塁走者小暮が生還し、1点を返した。

 ここまでの得点シーンを見てみると、大宮西が南稜のミスを逃さずに物にしているのに対して、南稜は明確な繋ぐイメージからの得点となっていることがわかる。

 その繋ぐ野球は、7回に爆発することになる。

4番・飯塚(南陵)

 7回裏の南稜の攻撃。この回先頭の渡辺が四球で出塁すると、続く横山の犠打が大宮西の好守備に阻まれ、一死一塁となる。その後、二死一塁と試合が動いた後に、2番石井の右適打、3番小暮の四球でチャンスを二死満塁と広げる。ここで、4番飯塚、5番飯田の二連打で三点を加えることに成功する。最終的にはこのリードを守りきり、南稜の勝利となった。

 試合全体としては、非常にゴロやライナー性のヒットが多く、両チーム共に、コンパクトなスイングを意識し、基本に忠実なバッティングを行っていた。また、要所ではダブルプレーが見られ、両チーム共に守備に関しても十分力があったことは言うまでもない。

 しかし、南稜はより繋ぐ意識が高かった点で、大宮西を一歩リードしていたのかもしれない。ベンチやスタンドからは、しきりに「繋げ!」というような声が飛び交っていた。選手たちも、ランナーとして出塁しながらも、打席に立つ選手に、繋ぐことを意識する声掛けをしていた。

 コンパクトな野球ができ、守備も堅実な南稜。これからの戦いに期待したい。

(文=編集部)