都立山崎vs都立南葛飾
先制打を放った3番平井(都立山崎)
昨年の夏から、合同チームではなく、単独チームで大会に出場している都立山崎は、現在部員が12人。うち、2年生部員は僅か3人。「気は強くて、頼れる2年生が今日は試合を引っ張ってくれました」と福永監督も信頼を置く、3番キャッチャー・平井、4番レフト・林、5番ピッチャー・牧谷の2年生トリオが、この日の都立南葛飾戦で奮闘した。
初回、都立山崎は、1番三河が、内野安打で出塁すると、3番平井が変化球に上手くタイミングに合わせて、ライトへの二塁打を放つ。
1点を先制した都立山崎は、続く、4番林、6番土本も四死球で出塁し、満塁の好機を作る。7番山田の打席での相手投手の暴投の間に、三走の平井がホームイン。さらに、3回にも、二死から、4番林がショートへの内野安打で出塁すると、すかさず二盗。続く5番牧谷の適時打で3点目を挙げる。
一方で、2013年に、軟式野球部から硬式へ転向した都立南葛飾も、1、2年生あわせて10名の戦力ながら、この日は粘りの野球をみせる。
3点を追う都立南葛飾は4回。二死から、6番後藤拓が相手エラーで出塁。7番杉山は内野安打で出塁し、ランナー2人を置くと、4回から途中出場している8番川村が、左中間を割る2点適時打を放って、1点差に詰め寄る。
リードを広げたい都立山崎は7回。僅かなチャンスを得点に結びつける。一死から、2番釘宮が四球で出塁すると、二盗。3番平井がレフトフライに倒れるも、この日すでに2安打放っている4番林が魅せる。「4番として、ここで打たないと」と、右方向を狙った林の一振りは、ライトへと転がる。林の一打で釘宮がホームへ生還。都立南葛飾を突き放す4点目を入れた。
4対2で迎えた8回。都立南葛飾は、2番瀬戸、4番松本の安打でチャンスと作るも、あと一本が出ない。9回にも、8番川村が中前打を放つも好機を生かせず、3アウト。
都立南葛飾のエースで4番・松本も力投
4対2で都立山崎が都立南葛飾を下し、勝利を挙げた。都立山崎にとっては、久しぶりの公式戦白星となる。試合後、福永監督は、「いつも練習試合では、初回に大量失点してしまうことが多いのですが、今日は初回から集中していこうと話し、2点を先制することが出来たのが大きかったです。公式戦で1つ勝つことを目標にしていたので、それが達成できて彼らにとっても自信につながると思います。今日で、また一つ上の目標ができたので、そこに向けて次も胸を借りるつもりで自分たちの野球をやっていきたいです」と話してくれた。
また、都立山崎のエース牧谷は、被安打8、失点2と、ランナーを出しながらも粘り強いピッチングで最後まで投げ抜いた。「(秋の初戦で)緊張はありました。それでも夏は初戦でボコボコに打たれたので、夏休みの期間は走り込みをして、制球力を高めてきました。今日は大事な場面でコントロールを意識して投げられてよかったです。序盤に2点を挙げてくれたことも大きかったです」と笑顔をみせた牧谷。
その牧谷をリードしたキャッチャーでキャプテンの平井も、この日の勝因を「試合前に、『絶対声を出していこう』とチームで決めて、今日は全員で声を出しながら、最後まで集中してプレーできたことで勝利につながったと思います」と振り返った。学校の帰りもいつも一緒だという2年生トリオが、投打にわたって活躍。都立山崎にとっての大きな白星を手繰り寄せた。
敗れた都立南葛飾は、エースで4番の松本が1年生から主戦で投げてきた。都立山崎に9回を投げて10三振奪う力投をみせるも、被安打8、4失点で敗れた。春から監督に就任した海洲監督は、「こういった接戦の経験からチームは強くなっていくので、もっと選手たちに練習試合も含めて実践の経験を積ませてあげたいです。敗れはしましたが、今日は粘って戦ってくれました」と語った。
まだ硬式野球部に転向して1年半ながら、野球が好きな選手たちが集まって、徐々に力をつけている都立南葛飾。この日の敗戦が、彼らを強くしてくれたことは間違いない。
(文=安田 未由)