夏の厳しい上位決戦。厳しさを知る日南学園が一枚上手!

準決勝までの戦歴・日南学園(第1シード) 2回戦:不戦勝(宮崎海洋の不祥事による出場辞退) 3回戦:4−0福島 準々決勝:10−0宮崎大宮・宮崎日大(第4シード) 2回戦:4−0高城 3回戦:1−0延岡学園 準々決勝:6−3延岡星雲

今チームの対戦歴・第134回九州地区高等学校野球大会宮崎予選 [準々決勝]日南学園11−0宮崎日大(6回コールド)・第61回宮崎県高等学校野球選手権大会兼第21回NHK杯高等学校野球大会 [準々決勝]宮崎日大7−5日南学園

 秋(第133回)・春(第134回)の九州大会県予選を制した日南学園と、直近の県選手権(NHK杯)を制した宮崎日大が激突した準決勝。今チームの事実上の決戦とも言える準決勝第1試合は、日南学園は3年生左腕エース横川、宮崎日大は2年生右腕エース杉尾で始まった。

 試合は初回から動いた。1回表、日南学園先頭の椨木が、高めに甘く入った2球目を右中間まで運ぶ三塁打で出塁すると、一死三塁となってから3番田久見の内野ゴロ間にあっさりと先制した。

 しかし、宮崎日大は1回裏。3番甲斐が、二死無塁から真ん中に入った初球の変化球を逃さず、レフトスタンドまで運ぶ本塁打を放って1対1。すぐさま試合を降り出しに戻した。

 その後、両エースが2回から6回までを1安打無失点ピッチングをみせ、一歩も譲らない白熱した投手戦が続いた。

 均衡が破れたのは、日南学園ラッキーセブンの攻撃。一死一二塁から8番代打東がライト線を破る適時二塁打を放ち2対1とリード!続く9番新谷が、一死二三塁カウント2ボール2ストライクからスリーバントスクイズ!!宮崎日大バッテリーが高めに外した直球に、新谷が必死に飛びついてスクイズを成功!日南学園が3対1とリードした。

 その後、日南学園は、8回一死一塁から右サイドハンドの柳が登板。柳は、代わり端に四球と死球を与えて、一死満塁で宮崎日大4番西林を迎える最大のピンチを背負ったが、見事なサインプレーで一塁牽制死を奪って楽になり、西林を中飛に抑えた。

 そして、9回裏宮崎日大の攻撃。二死無塁から、7番新名が今試合2本目となる意地の二塁打で出塁し、8番代打宮坂が内野安打で二死一三塁のチャンスまでつくったが、後続が倒れゲームセット。

 強打日南学園を相手に被安打5、四死球2、奪三振5で、2・3・4・5・8・9回を三者凡退に抑えるほどの粘投をみせた宮崎日大の2年生エース杉尾には、早めの援護、早めの1点が欲しいところだった。

 宮崎日大は2・5・8回に、先頭が四死球でチャンスをもらっていたが、犠打の失敗があり、強攻策も裏目に出て、無死一塁のチャンスで早い段階に走者を進めることが出来ず、あとひとつホームが遠かった。宮崎日大の来チームには、エース杉尾を中心に、今試合のような厳しい夏の1戦にも勝てるチームになることを期待している。

 試合を振り返ると、スタメン全員にタイムリーが1本もでないほど相手エースに抑え込まれ、苦しんだのは日南学園であった。だが、我慢に我慢を重ね、訪れた7回のワンチャンスで代打東の一打と新谷の絶妙なスクイズ。金川監督の厳しい采配と各選手の動きがピタリと合致して力を発揮した。厳しい1戦を制するに相応しい戦い方が出来た日南学園が一枚上手だった。

 これも、秋・春と九州大会に出場して、両大会の優勝校沖縄尚学と対戦し、自分たちの力が出せないまま、何もさせてもらえないまま敗戦となった日南学園。九州の壁、全国トップクラスの壁にぶつかり、その悔しさと厳しさを知った日南学園が、この夏この1戦で試合巧者になった。

 第1シード日南学園は、3年ぶり7回目の甲子園出場まであとひとつ。23日13時から、第6シード日章学園と決勝を戦う。

(文=三角 竜之)