ナポリ、ミラン、ラツィオと続くインテルにとっては勝負の終盤3連戦。その緒戦であるナポリとの試合は、互いにいくつか決定機を作りながらも決めきれずに痛み分けのドローで終わった。

インテルにとってはこれで残り3試合で6位のチームとは勝ち点5の差をキープし、ミランとラツィオとの試合を五分で切り抜ければヨーロッパリーグ圏内は見えてきたと言える。それだけでなく、来期のチャンピオンズリーグ出場権ゲットに向けて、ナポリと互角の試合を演じられるぐらいに内容が上向いてきた事が大きい。

特にコバチッチの成長は目覚ましく、最初の頃は走りも当たりも出来ずに単なるバックパサーに成り下がっていた事が多かったが、この試合ではモドリッチとジダンを足して割ったようなボールタッチでキープから反転まで個人でやってのけ、中田ばりのギリギリなタイミングでのキラーパスを繰り出すなど、世界一流のタレントである事を見せつけた。

彼の調子が上がってきた事によって、今まではサイド一辺倒の攻撃で、長友のサイドさえ縦を切っておけば急に攻め手が無くなってしまったインテルが、中を使った速い攻撃が出来るようになり、それによってまたサイドが空いて長友が活きるスペースが出来るという好循環が生まれている。

そこに堅実なプレイとキープ力を誇るエルナネス、アンカーとしては依然としてワールドクラスであるカンビアッソ、無尽蔵の運動量を誇る長友で構成する中盤は、欧州のトップクラブと比較しても引けをとらないクォリティになって来たと言える。あとはトヒル会長の財布次第ではあるが、1トップを任せられるFWと、どれもいまいち頼りない右サイド、サムエルに代わるDFリーダーが揃えば来期はかなり期待が出来るのではないか。

この試合の長友については、前半は最初から高い位置にいたものの縦を来られて仕方なく中に戻す場面が多く、長友サイドのCBであるアンドレオッリが中に引っ張られてしまって裏のスペースをカジェホンに使われて決定的なピンチを作られるなど厳しい対応を強いられた。

しかし後半からはSBの低い位置にポジションと取ってサイドの上がりを牽制し、カジェホンが守備に戻れなくなってからは長友タイムスタートで、あと一歩の惜しいクロスや鋭い縦パスを連発、コバチッチのキラーパスから切れ込んだシュートは素直すぎたが前半の劣勢をしっかり挽回する活躍だった。

累積警告がリーチだった長友がこの試合でイエローをもらわなかったため、次のミラノダービーでは日本人対決の可能性が出て来たわけだが、たとえ本田が出て来ても今の長友とマッチアップしたのでは分が悪いことは間違いない。何とか上手いこと長友の裏を取ってカットインからファールを誘い、セットプレイで勝負するぐらいしか思いつかない。まあ何はともあれ試合の日が楽しみだね。