今季初のフル出場マンU香川への現地評とは…指揮官の評価を覆したか

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 マンチェスター・Uの日本代表MF香川真司が23日、ホームで行われたチャンピオンズリーグ・グループステージ第3節のレアル・ソシエダ戦で今シーズン初のフル出場を果たし、80分間を4−4−2の左サイド、最後の10分間を4−2−3−1のトップ下でプレーし、存在感を示した。多くの英メディアはイングランド代表FWウェイン・ルーニーや来月40歳を迎える元ウェールズ代表MFライアン・ギグスをマン・オブ・ザ・マッチに選出したが、香川も各メディアから好評価を受けた。

 デイヴィッド・モイーズ監督は、今シーズン公式戦4度目の先発出場となった香川について、「私が指揮してきた中で彼は最高の試合をプレーした。彼の真の実力を今夜初めて見た」と称賛した。公式サイトと公式ツイッター上でも香川はファンが選ぶマン・オブ・ザ・マッチに選出されている。

 試合を生放送した英スカイスポーツのウェブサイト上では、試合後の評価で香川に平均点の6点が付けられ、ルーニーに9点、ギグスに8点の高得点が付けられたが、80分、メキシコ代表FWハビエル・エルナンデスとイングランド代表MFアシュリー・ヤングの交代時(4−4−2から4−2−3−1)に香川がトップ下に入った際、解説者で元マンチェスター・Uのガリー・ネヴィル氏が香川について語る場面があった。

「これで香川がトップ下に移り、ルーニーがワントップでプレーする。香川はルーニーの真後ろ、自分の得意とするポジションに入る。香川は周囲に背番号10の位置、つまり中央の攻撃的MFの位置でプレーしたいと言い続けてきた。彼は昨シーズン、毎試合で十分な影響力をもたらすことができなかった。このポジションでは得点し、アシストも築くという一貫したプレーが求められる。最後の10分間でそれを見せるチャンスが彼に訪れた」

 マンチェスター・イブニング・ニューズ紙のポール・ハンドラー記者は、「ルーニーと香川は共存できる」と題し、次のように評した。

「香川は今シーズンのモイーズ監督の構想から外れていたが、鋭敏性と創造力をチームにもたらした。すべてが上手く言った訳ではないが、彼はユナイテッドの選手が持つ特有の魔法を持ち、ルーニーとの連係プレーは今後を約束させるものだった。彼はまだ(アーセナルの)メスト・エジルと肩を張れないかもしれないが、似通う選手であり、ルーニーは香川のスタイルと共鳴していた」

 BBCのフィル・マクナルティ記者―

「モイーズ監督にとって大きなプラスとなったのは、彼が今シーズンこれまで軽視し続けてきた香川真司の活躍だ。過去に何度か離脱を経験したMFは全力かつ効果的なプレーをした。香川は今回負傷離脱した(ロビン)ファン・ペルシーが復帰することになれば、彼を本来トップ下で支えるルーニーとポジションを争うことになるため、今後も苦しむことが予想されるが、日本代表のエースはモイーズ監督に実力を示した」

 2012年の移籍以来、これが通算7度目の公式戦フル出場となった香川。マンチェスター・Uは6日間で3試合という過密日程をこなしているため、26日のストーク戦への出場はローテーションの兼ね合いで微妙となっているが、疲労回復が早ければ出場の可能性も十分ありうる。香川は今シーズンのプレミアリーグでは定位置確保に至っていないため、確かな存在感を示した今回のパフォーマンスで波に乗りたいところだ。

文●藤井重隆