「全国スイーツマラソン」
今後の開催は、1月29日(愛知)、3月4日(神戸)、3月18日(横浜)を予定。神戸大会、横浜大会はまだエントリー受付中です

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箱根駅伝から始まり、野口みずきが復活を期す大阪国際女子マラソン、そして世界的イベントになりつつある東京マラソンなどなど冬はマラソンの季節。テレビや各雑誌でランニング特集が組まれたり、『Number』がムック本を出版したりと、去年に引き続き絶賛マラソンブームですね。
正月太りでぷっくりした自分のかわいいお腹を見てると、ブームだろうがなかろうがいい加減自分も走り始めなきゃ! とは思いつつ、重い腹、じゃなくて腰はなかなか動かないもの。いい年したオッサンがストイックに走るなんて無理! そう簡単に走れるようになるんならもうとっくに走ってますって。何でもいいから頑張る理由が欲しいんですよ、ご褒美とか。
そんな都合がいいのないかなぁと探してみたらありましたよ。その名もズバリ「スイーツマラソン」。

「スイーツマラソン」とはフランス・ボルドー地区で毎年開催されるメドックマラソンをヒントに企画立案されたマラソン大会。メドックマラソンではブドウ畑やシャトーを巡るコースに設置されたエイドステーション(水分やエネルギー補給の場所)でワインがふるまわれ、ランナーは思い思いに仮想しながら、フルマラソンの時間を競うだけでなくワインを楽しむことを一番の目的としています(※メドックマラソンを詳しく知りたい方は『神の雫(24巻)』がオススメです)。同様にこの「スイーツマラソン」は、自分へのご褒美を目指してマラソンとスイーツを楽しむ、食と運動をひとまとめにしちゃった新しいエンターテイメントで、エイドステーションではゼリー、ようかん、チーズあられ、ラムネ、メレンゲ、バウムクーヘンなどなどたくさんのスイーツが楽しめる仕組みになっています。

2010年の11月に「第1回全国スイーツマラソンin大阪」として産声をあげ、第2回が北海道で、第3回が福岡、第4回が大阪で開催。そして今回「第5回全国スイーツマラソンin東京・お台場」として遂に関東初上陸を果たしたのです。残念ながら大会エントリーは終わっていたのですが、有名スイーツ店の物産展が楽しめるというし、3月には横浜大会もあってこちらのエントリーはまだ受付中なので、実際どんな大会なのか、エントリーすべきかどうかを判断するためにも東京大会にお邪魔してみました。

1月15日(日)、天候に恵まれたお台場・潮風公園は朝8時にもかかわらず人、人、人。エントリーしたランナーだけでも5000人以上ということで、応援の人や物産展目当ての人も含めてスゴい人集りです。大会ホームページによると種目は3つ。10kmマラソンの部、仲間と参加して42.195kmを走るリレーマラソンの部、そして同じくフルマラソンを走るシャッフルマラソンの部?? なんだ? シャッフルマラソンって。そんな疑問を抱いてメーン会場に入るとちょうど開会式の真っ最中。「それでは皆さん、スポーツマンシップにのっとってご賞味くださいませ!」とスイーツマラソン大会会長・谷崎敦彦さんが高らかに開会を宣言したところでした。
大会のことなら会長に聞くのが一番! と早速お話を聞いてみました。


《スイーツマラソンだけに「甘い人間関係」を築いていただきたい》
─── すごい数の参加者ですね。
谷崎 そうですね。先月の大阪大会のエントリーが3000人超だったんですが、今回は5100人がエントリーしてくれています。関東でずっと開催したかったのですが、震災の影響があったり場所の選定が難しくて。お台場のマラソンコースが完成してようやく東京で開催できる運びになりました。

─── スイーツマラソンの特徴はなんでしょうか?
谷崎 マラソン大会というとアスリート系の競技者が幅を利かせてるといったら変ですが、初心者の人には敷居が高かったりするんです。でも「スイーツ」という入り口があると女性を中心にマラソン大会に出たことがない人でも参加しやすいみたいですね。一般のマラソン大会だと、7:3で男性ランナーの方が多いんですが、この大会は男女比率がだいたい半々です。

─── 確かに、お子さんの参加者や家族連れのランナーも多いですね。
谷崎 裾野を広げるという意味ではいいことかなと思ってます。マラソン大会って2、3時間で終わっちゃってあとは解散、ということも多いんですが、ここではスイーツの物産展もあったりして一日楽しんでいただけますので、家族連れにはちょうどいいかもしれませんね。小さいお子さんでもリレーマラソンであれば短い距離からでも参加できますので。

─── リレーマラソンも面白いのですが、「シャッフルマラソン」っていうのはどんな種目なんですか?
谷崎 これがスイーツマラソンならではの特徴的な種目なんですが、即席チームでのリレーで42.195kmを走っていただくというのが「シャッフルマラソン」です。エントリーいただいた方をこちらで勝手にシャッフルしてチーム編成しますので、当日会場に来てはじめてメンバーがわかるんです。初対面ながらもチームワークをたすきでつなぐという“人とのつながり”を意識できる競技で、3・11後の日本に一番即しているテーマなんじゃないかと思っています。実は「男女混合婚活チーム」という意味合いもあって、究極的には将来の伴侶をマラソンを通じて見つけていただきたいなと。スイーツマラソンだけに、走ることを通して「甘い人間関係」を築いていただきたいですね(笑)


会長にお話を聞いている間に早くも各ランナーはスタートを切ってスイーツめがけてまっしぐら。エイドステーションではどのスイーツを食べようか迷う人、たくさん食べようと列に並ぶ人で大混雑。こんなの記録を争う普通のマラソン大会じゃ考えられないですよね。あまりの行列っぷりに、「食べた方はどんどん走りましょう! じゃないと太りますよぉ」という運営スタッフの温かい(?)言葉がかかります。これ、スイーツの準備も含めて運営スタッフは大変だろうなぁ…
ということでその辺の苦労のほどを、運営面を取り仕切る大会実行委員長・矢島友幸さんに伺いました。


《100種類、8万個のスイーツを用意しました》
─── 何がキッカケで「スイーツマラソン」を企画されたんですか?
矢島 もともとは僕が3年前に沖縄マラソンを走ったことがキッカケです。その沖縄マラソンでは、エイドステーションで黒糖がふるまわれていたんですが、その黒糖ですごく元気を取り戻すことができたんですね。でも、黒糖も嬉しかったのですがマカロンやケーキとかだったらもっと華やかになって女性にも喜ばれるんじゃないかなぁと思ったのが企画の発端です。

─── それがここまでの大きな大会になったんですね。
矢島 マラソンの魅力をもっと広めたいという想いもありましたし、女性の参加者が増えれば結果的に男性の参加者も増えますからね(笑)

─── 運営する上で大変な部分は?
矢島 スイーツを集めるのがやっぱり大変ですね。当然、皆さんスイーツが食べたくて参加されてるんですが、かといってひとり1個だけ、という訳にもいかないので多めに用意しなくちゃいけないんです。あと、走る上では向いていないスイーツもあったりするので、管理栄養士さんの指示も仰ぎながら集めるのが大変ですね。

─── どのくらいの量を準備してるんですか?
矢島 東京大会では100種類、8万個のスイーツを用意しました。

─── え? 100種類、8万個!!??
矢島 過去では3000人の参加者が一番多かったんですが、そのときに一人10個換算で3万個のスイーツを用意しても結果的には足りなくなっちゃって… それを踏まえ、今回は5000人の参加なので余裕をもって8万個用意しました。あと、人気商品からなくなってしまうので種類を用意しなくちゃと思ってますね。

─── 今後の展開は何か考えてるんですか?
矢島 スイーツマラソンってどこでもできるんですね。例えば、東京マラソンだともちろん東京で開催しなくちゃいけないんですが、スイーツマラソンにはその縛りがない。だから、全国47都道府県で開催して、全国のスイーツを紹介する場になっていけばいいなと思っています。いくつか興味をもっていただいている自治体もありますので、町おこし的にできればいいですね。

─── 確かに、それだったら各地域の大会に出たくなりますね。
矢島 実際、毎回参加していただいているランナーの方もいらっしゃるみたいです。今後は年間10回くらいの大会を計画していますので、東京・大阪・名古屋を年2回、その他を別な地域でやっていきたいですね。


こうスイーツのことばかり書いていくと逆に真面目なマラソンランナーは楽しめないのかと思われるかもしれませんが、個人の部であれば一人一人にちゃんと完走証が配布されてタイムや順位もわかります。記録を狙うもよし、スイーツ目当ても良し、仮装で楽しむのも良し。いろんなモチベーションの人が楽しめる大会なのは間違いありません。
今後の大会日程ですが、1月29日に愛知大会、3月4日に神戸大会、3月18日に横浜大会が開催されます。愛知大会はすでにエントリーが閉め切られていますが、神戸大会・横浜大会はまだまだエントリー受付中! お近くにお住まいの方、マラソン始めたいけどキッカケが欲しかった方、ただの甘党の方も、この機会にいかがでしょうか。

と、ここまで書いたところで編集の加藤レイズナに報告したら、「え? まさか実際に走りもしないでマラソン大会知った気になってるワケ!?」とまさかのダメだし!
というわけで、3月に開催される横浜大会の参加決定です。無事に完走できたら追ってレポートしたいと思います。(オグマナオト)