「人の空気を読む能力をなめちゃいけない」

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 ニコニコ生放送「ニコ生思想地図」などにも出演する作家の東浩紀氏は、2011年12月19日夜の「現代ビジネス 東浩紀×佐々木俊尚 対談 『ツイッター、ニコニコ動画、民主主義』」で、作家・社会学者としての視点から「国会でニコニコ動画を流せば、議員は"空気"を読み、まともになる」といった持論を展開した。

 東氏は、冷戦終結後に形骸化してしまったという日本の政治システムにおいて「熟議のインターフェース」を担う可能性のあるメディアとしてニコニコ生放送を挙げ、

「国会議事堂に(ニコニコ)動画中継が入って、コメントが表示されるシステムを導入することはけっこう簡単にできる」

と語り、政治不信が深刻な現状において国民の関心を引くためにも、国会が自らニコニコ生放送の導入に動く可能性もあるのではないかとの見方を示した。また最近の政治の傾向として、ジャーナリスト佐々木俊尚氏が指摘する、橋下徹大阪市長や石原慎太郎東京都知事のような「キャラクター化された政治家」の台頭について東氏は、

「僕はそういうのに対して明確に反対の人です。ハッキリと。だから、初音ミクを出馬(させる)とかは反対です」

と述べ、キャラクターありきの選挙政治には「あまり意味がない」との考えを示したうえで、

「党議拘束が全部はずれて、国会議事堂にニコ生の中継(が入って)、ニコ生のコメントさえ流れ続ければ、(議員は)結構まともになると思う。人の"空気"を読む能力というのをなめちゃいけないわけで、ダイナミックにリアルタイムに"空気"を読めるような状況さえ作れば、議員たちも人々の空気から外れたことはしないと思う」

との考えを述べ、「空気を読ませる」ことによって議員側のリテラシー(能力)も向上するのではないかと提言した。

 なお、ニコニコ生放送での東氏の発言については、「ニコ生思想地図」での対談をまとめた『別冊思想地図β』にも収録されている。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「初音ミクの出馬には反対」から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv74839715?po=newslivedoor&ref=news#42:22
・[ニコニコ市場] 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル
http://ichiba.nicovideo.jp/item/az4062173980
・「震災から語る」別冊思想地図β ニコ生対談本シリーズ1
http://contectures.jp/bessatsu_beta1

(内田智隆)