インタビュー：渡辺大知「今まで自分がやっていたのは自己満足」
――まず今回主役に起用されて、映画初出演で感じたこと、驚いたエピソードなど教えてください。
渡辺大地（以下、渡辺）：本当に何もかも初めてで、直前まで実感が沸きませんでした。いざ台本をもらって、読みあわせをしている時に、「あれ、やばいぞ」というか「僕なんかが映画に出ていいのか」とすごく不安になってしまいました。とにかく練習しようと思ったんですけど練習の仕方が分からない。「映画ってどう練習するもんなん？」みたいな。クランクインの前に監督が僕の地元の神戸まで来てくださって、「素のままで良い」って言ってくれたんですけど、それも難しかったですね。とにかく、セリフを何度も読みました。――主演が決まったときに、ご家族やお友達の反応はいかがでしたか？
渡辺：それが面白いんですけど、能天気というか、多分僕以上に信じて無かったですね。「大知くん、映画もうそろそろやるやんな」、「全国公開なん？」みたいな、あんまよく分かってない感じだったので、逆に安心しました。のんびりしてて良い感じでしたね。――今回の作品は70年代の雰囲気が全体に漂っているものでしたが、渡辺さんとは世代が大きく違っていますね。いかがでしたか？
渡辺：確かに服装とかそういう文化は違っているんですが、「考えていることは変わらないんだな｣、と原作を読んだときにすごく思いました。すんなり共感できたし、安心もしました。でも、やっぱり｢情報量の違いは大きいんだな｣と思いました。この映画では友達に「隠岐島ってフリーセックスの島らしいぜ」って誘われるんですが、もし今の時代だったら多分疑うところから始まると思うんですよね。まずパソコンで調べたりして。でも映画で描かれている時代は情報量の少なさが逆に良かったというか、信じるところから始まっているのが、まっすぐですよね。そこがうらやましいなと思いました。情報量が少ない分、やっぱり想像力が発達しているのかなと思います。――現代に比べて非常にシンプルな情報網の伝達をある種の魅力というふうに感じられたんでしょうか。
渡辺：そうですね。僕自身最近のパソコンとかインターネットのサイトとかあまり見ないので、古臭いんですよね（笑）。だから人と人とのコミュニケーションが一番大切だと思っていて。この映画も人と人との会話から刺激を受けたり、先輩や旅先で出会った人とか家庭教師の会話から成長していくのが素敵だなぁと思いました。このインタビューを読んでいて、インターネットに慣れている人にも是非見てもらいたいなと思っています。――この映画より前に、「ユースホステル」の存在はご存知でしたか？
渡辺：泊まったことはないんですけど、泊まろうとして調べた事はあります。小学生の頃に、この映画みたいに友達と「六甲自然の家」という所に行って、知らない人達と寝泊りをしました。キャンプファイアーを焚いて交流を深めたりしたことをすごく思い出しました。そこで出会った人達のことは今でも覚えていますし、リーダーっていう人が２人いて、まさに映画で峯田さんが演じたヒゲゴジラみたいな人で、色んな話しをしました。――撮影のときに一番印象に残っているエピソードを教えて下さい。
渡辺：僕は、全てのシーンに関わっていますけど、ロケの最後の方はだんだん人が減っていくんですよね。だから、実際に出会いと別れを体験した感じです。撮影が終わったらもう会えない気がして恐かったですね。鴨川のシーンが最後のシーンだったんですけど、「もう俺1人かぁ」って 、こみ上げてくるものがありましたね。
