photo : Kazumi Oda

声でも、コップを叩いた音でも、ギターでも。

デジタル録音(サンプリング)した音に、音階とリズムをつけて自在に再生できる「サンプラー」というマシーン。80年代に日本のAKAIが出したMPCシリーズが、HIP HOPやクラブミュージック業界を席巻。鍵盤だけでなくプラスチックやゴム素材のボタンやタッチパッドなど、さまざまなスタイルでサンプリング音を「ポン出し」できる商品が登場してきました。

その中でこの「Chompi Club / CHOMPI Sampler」は、「ビデオゲームのように操作し、学べる」をコンセプトに開発された新しい発想のサンプリングマシーン。見た目が自作キーボードっぽいので、会社に持っていったら自作マニアの編集部員が「なんすか? それ」と目をむいていました。

楽器としての完成度が高い

Kikcstarterで発表されると、大評判となり約395万円(3万米ドル)の目標のところ、1,698人のバッカー、1億2,271万円(93万米ドル)を突破。

一見オモチャっぽくて楽しいガジェットだなーと思っていたのですが、大人気により今は一般発売。日本では、beatsvilleさんが輸入販売しています。入手して驚いたのは、何よりしっかりと弾きやすく、楽器としての完成度が高いところです。

特徴的な鍵盤部分は、PCキーボードのパーツがピアノのように黒鍵・白鍵で配列されたもの。ホットスワップ対応なので、キーキャップやキースイッチを好きなものに交換してカスタマイズできます。まさに自作キーボードのような感覚で、お気に入りのキーキャップでデコることも可能。

PCのキーボードが鍵盤に

個人的にはPCのキーボードこそ毎日仕事でバシバシ叩いているものなので、「むしろオーソドックスな鍵盤より弾きやすい」と感じてしまいました。

しかもオリジナルのキースイッチの感触が、硬い、もしくは柔らかすぎて違和感があるようなら、好みの感触のキースイッチに変える裏ワザまで可能なんです。

さらに、フロントやサイドパネルもモジュール的にカスタム可能。ここまで自由度が高いのに手にしてみるとオモチャっぽくはなく、アルミのしっかりした筐体でモノとしての色気があります。

photo : Kazumi Oda

鍵盤はわずか2オクターブなので、これだけで華麗に弾きまくる、というわけにはいきません。しかし録音マイクに加えて、ルーパーやテープディレイなどのエフェクト機能が充実しているので、工夫すればこれ1個で十分に遊べる...どころかインスタライブなどでのパフォーマンスにはうってつけと言えそう。

拡張性と安全性

シーケンサーは内蔵してないものの、MIDI端子もIN/OUT装備しているので、外部シーケンサーやシンセ音源とも同期して拡張できます。なにより音質的に優れているので、7音ポリフォニックの音源としても使える。さらにUSB-C端子も装備されているので、PCに繋げて連動できる。DAWの入力用ミニキーボードとしても重宝しております。

それであまりに使いこみすぎて、ついついボリュームノブを破損してしまったのですが、購入したbeatsvilleさんが欠損したパーツを輸入して丁寧に修理対応してくれました。クラウドファウンディングで話題になったガジェットだけに、こういうしっかりした対応があるのも心強いですね〜。

Source : Chompi Club