現在子どもは「高3・中2・中1」の3人です。来年度から「大学無償化」の対象になるけど、一番下の子は無償化が受けられないって本当ですか?“多子世帯”なのに、なぜでしょうか?
大学無償化制度とは
大学無償化制度は、大学だけでなく、短期大学や高等専門学校、専門学校に通う学生が一定の条件を満たした場合に利用できる教育費の支援制度です。「給付型奨学金」と「授業料と入学費の減免」を受けられます。
給付型奨学金は、返済が不要の奨学金を受けることができ、例えば、私立大学の場合は46万円(自宅通学の学生)、国公立大学の場合は35万円(自宅通学の学生)が支給されます。返済が不要なので、進学後も返済の心配をする必要がない点がメリットです。
授業料と入学費の減免は、授業料と入学金についてそれぞれ支援を受けられる制度となっています。具体的には、免除・減額の上限額は、私立大学の場合は授業料が70万円で入学金が26万円、国公立大学の場合は授業料が54万円で入学金が28万円です。
もっとも、大学無償化制度を利用するためには「世帯収入や資産の要件を満たしていること」、「学ぶ意欲のある学生であること」といった要件を満たす必要があります。特に、世帯収入や資産の要件を満たすためには、目安年収以下の収入でなければならず、住民税非課税世帯や住民税非課税世帯に準ずる世帯しか利用できない点がデメリットとなっていました。
令和6年度から対象が拡大し、令和7年度からさらに拡大
このようなデメリットを改善するために、令和6年度から目安年収600万円の「多子世帯」と「理工農系に進学する学生のいる世帯」が新たに大学無償化制度の対象となっています。しかし、所得制限が依然としてあることと支援の上限の4分の1しか支給されない点が懸念されていました。
そこで、令和7年度からは多子世帯であれば所得制限が撤廃され、支援の上限まで全額で支給されるようになります。多子世帯は「扶養されている子どもが3人以上」の世帯なので、事例のような高校3年生、中学2年生、中学1年生という家族構成であれば、多子世帯となり所得に関係なく大学無償化制度を受けることが可能です。
多子世帯の注意点
しかし、多子世帯であるためには「扶養されている子どもが3人以上」であることが必要なので、年上の子どもが扶養から外れてしまうと多子世帯でなくなってしまうため注意が必要です。
例えば、事例のような場合だと現在高校3年生の子どもが大学を卒業して扶養から外れると、現在中学2年生の子どもと中学1年生の子どもは大学無償化制度を受けられません。多子世帯だからといってすべての子どもが大学無償化制度を受けることができない可能性があることも覚えておきましょう。
注意点について理解しておきましょう
「大学無償化制度」は、利用できる対象が拡大し、多くの世帯で支援を受けられるようになってきています。特に、令和7年度からは多子世帯の教育費の負担を大きく軽減してくれることが期待されています。
しかし、多子世帯であっても必ず子ども全員が大学無償化制度を利用できるわけではありません。多子世帯の数え方といった注意点を理解しておきましょう。
出典
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等無償化)に係るFAQ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー