石破茂首相

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石破茂首相が来月5日の米大統領選挙後に訪米し、米大統領当選者と早期に会談する考えを明らかにした。石破首相は13日に報道された読売新聞のインタビューで「同盟国の日本の首相として、来年1月の正式就任前に関係を持つことは必要なことだ」とし、このように述べた。

また、来月中旬にペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議とブラジルで開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するために南米を訪問する予定だとし、その前後の訪米も「可能性としては否定しない」と話した。

これに先立ち2016年、当時の安倍晋三首相が米大統領選挙後の同年11月、当選が決まったドナルド・トランプ次期大統領とニューヨークのトランプタワーで会った。トランプ氏が当選直後に会った最初の外国首脳だった。

安倍首相はゴルフが好きなトランプ氏に最高級の日本製本間ゴルフクラブを贈るなど積極的に密着する動きを見せた。その後、両首脳は在任中、互いに「シンゾウ」と「ドナルド」と呼び合う親密な関係を構築した。

このため外交関係者の間では「石破首相が安倍元首相を踏襲する姿」という評価が出ている。一部では、「反安倍」路線の先鋒だった石破首相が結局は安倍氏の対米首脳外交だけは成功だったと認めることだと解釈した。

◆「アジア版NATO」創設、「国会に問う」

石破首相は就任前後に明らかにした安保政策には慎重な立場を表した。石破首相は在日米軍の法的な処遇問題などを含む「米日地位協定(SOFA)」改定に関する質問には、「どんなに難しいことかは誰よりも知っているつもり」とし「『いつまでに』ということを予断を持って申し上げることはしない」と答えた。

石破首相は衆議院選挙(27日)を控えて12日に実施された与野7党代表討論会で「防衛相当時の2004年に米軍のヘリコプターが沖縄で墜落した際、米軍が機体の残骸を回収し(日本の)警察が手をつけられなかったことが協定改定に取り組むきっかけになった」と紹介した。

また、この日の討論会で石破首相は「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」創設構想に関連し「党内の議論を加速させ、国会で(賛否を)問う」という意思も明らかにした。

◆「結果的に原発比率低める」

一方、石破首相は国内政策を自身の所信に基づいて進めるという覚悟も明らかにした。これに関連し石破首相は13日に報道された日本経済新聞のインタビューで、再生可能エネルギーの活用を高めて原発比率を低めるという認識を表した。これに先立ち石破首相は9月の自民党総裁選挙で「原発をゼロに近づけていくのために努力を最大限にする」と述べた。

石破首相は「(原発の比率)引き下げが目的ではない」としながらも「原発の安全性を最大限に確保し、再生可能エネルギーの潜在力を引き出せば、結果的に原発の比率が低減すると期待する」と同紙に話した。

また石破首相は防衛費増額と共に法人税・所得税・たばこ税のいわゆる「3税」を引き上げるという従来の計画を進める意志も強調した。これを通じて2027年度に1兆円以上の財源を確保する方針だ。

石破首相は北朝鮮による拉致問題の解決のための首脳外交に関する質問には「いくつか可能性がある」とし「パフォーマンスをするのでなく、高齢化している(拉致被害者)家族のために何が最善なのか(判断する)」と答えた。産経新聞などによると、石破首相は就任翌日の2日、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会側に電話し、「東京と平壌(ピョンヤン)をつなぐ連絡事務所の設置を検討する」という考えを伝えた。これに対し連絡会側は北朝鮮に有利な情報が流布するとして反対の意思を明らかにしたという。