来年4月期ドラマの制作中止を発表した日テレ(写真・アフロ)

「『セクシー田中さん』の教訓につきましては、すでに公開させていただいているドラマの制作指針に則って適切に制作作業を行っています」

 9月30日、日本テレビ(以下日テレ)本社で定例社長会見を行い、副社長の福田博之氏が“来年4月期の連続ドラマの制作中止”についての質問に返答。「4月に放送するつもりで進めていた制作を中止した事実はある」と認めたうえで、原作者が制作側とトラブルになり亡くなった『セクシー田中さん』事件を教訓に制作を進めていると語った。

 報道によると、日本テレビは人気漫画原作の新作ドラマを制作する予定だったが、再び原作・出版社サイドとの折り合いがつかなかったと見られる。作品名や出演者などは不明だ。

 2023年10月期の『セクシー田中さん』のドラマ化をめぐっては、脚本家が最後の2回分の脚本を原作者の芦原妃名子さんが書き、自身は手掛けなかったことをSNSで告白。それを受け、芦原さんはSNSでドラマプロデューサーなど制作陣への不信感を表明するとともに自らが脚本を書いた経緯を説明し、直後、急逝してしまった。自殺とみられている。

 この事件を受け、日テレは“内部調査”を経て、7月に原作付き作品の映像化についての指針を発表した。今回はそれに則って制作中止を決めたものと思われる。

「定例会見では、『セクシー田中さん』以外にも、『24時間テレビ47』内で放送された『欽ちゃんのスミちゃん〜萩本欽一を愛した女性〜』について言及がありました。コメディアンの萩本欽一さんを支えた妻の澄子さんを描いたドラマでしたが、萩本さんが9月18日に自身のラジオ番組『TOKYO SPEAKEASY』にて日テレからの事前説明がなかったと告白。『おかしいのにやってるっていう。気がついたらやっている』と批判していました。

 副社長の福田氏は30日の会見で、『すべてきっちり確認許可を経て、制作に取りかかっている』『萩本さんのお怒りを買っている話は一切ありません』と語りましたが、モメていることに変わりはないでしょう。

 いずれの問題についても、日テレは経緯を明らかにしようとせず、視聴者から“逃げ”と捉えられても仕方ありません。このままでは、ますます“日テレ離れ”は進みますよ」(芸能記者)

 毎度のようにバタつく日テレのドラマ制作に、Xでも怒りの声が続出している。

《「また変わらず自分達のワガママで改変して作ろうとしたら原作者が嫌がったので仕方なく中止にしました、漫画家が悪いんです。私達は悪くありません」と書くだけでこの長さ?》

《セクシーの件、真摯に受け止めて、バレる前にちゃんと報告しましたよ!ってことか》

《視聴者目線で言えば、原作者に寄り添わないドラマ制作側は何様? 文句があるならオリジナルでつくればいい》

 一方、志半ばで世を去った芦原さんへの言葉も投稿されていた。

《芦原先生、ひとつの作品が守られましたよ》

 芦原さんの遺志は、しっかりと日テレに届いているだろうか。