不信任決議案の可決を受け、報道陣の質問に答える斎藤知事(神戸市中央区で)=金沢修撮影

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 斎藤知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、兵庫県議会で知事への不信任決議案が全会一致で可決された19日、「県民の皆様に、すべての皆様に心から申し訳ないという思いでいる」と話した斎藤知事。

 県職員らも様々な思いで受け止めた。

 「貴重なご意見ありがとうございます」「きちんと承らせてもらいます」

 午後2時半頃、県民からの意見を受ける広報広聴課では、職員が電話の対応に追われていた。ほぼすべてが文書問題や知事に対する批判だった。

 同課によると、問題が浮上して以降、開庁時間中は常に電話対応に追われているような状態で、通常の6人体制では対応できず、ほかの課などから2、3人を補充。知事の定例記者会見や、県議会百条委員会で知事の証人尋問が行われた翌日など、多いときには1日200件以上の電話を受けることもあったという。

 文書を作成した前県西播磨県民局長の男性職員が死亡した後、一連の問題に対する電話が増えた。7月9日〜今月18日に県の代表番号に寄せられた電話は約1万2500件に上り、多い日には約750件の電話があったという。3月以降に県ホームページの意見募集フォームに寄せられた投書は約7800件にもなる。

 大半は県の内部調査の正当性や、公益通報として扱わなかった理由を問う声のほか、知事のパワハラ疑惑や贈答品に関する批判だが、「公約を達成している」「県の旧体制を改革した」など、知事を擁護する声もあるという。ある職員は「知事への苦情でも、直接電話を聞くのは職員。1時間半以上の電話や、『職員も知事の犬』『職員も前県民局長を見殺しにした』などと言われることもあり、精神的に参ってしまいそうになる」と話した。

 県職員らの多くは県議会の中継を見ることなく、落ち着いて業務に取り組んでいた。「気にならないわけがない」と話した職員は、「今後どのような経緯をたどるにしても、早く正常に業務ができるようになってほしい」と胸の内を語った。

 一方、県庁前では「知事は直ちに辞めろ!」と書いた横断幕を持って抗議活動をする市民団体の姿も見られ、「県政に大きな混乱を招いている知事は辞職するしかない」などと訴えていた。