自宅で家族を看取ったら…〈かかりつけ医〉への連絡より先に「やらなければならないこと」【相続の専門家が解説】
家族や同居人のような身近な人が亡くなってしまったとき、とても冷静ではいられない、と考える人も多いのではないでしょうか? とはいえ、葬儀にいたるまでのさまざまな手続きについては、事前に流れを把握しておく必要があります。相続コーディネイターである曽根 恵子氏の著書『2025年版[図解]身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より詳しくみていきましょう。
身内が危篤に…まずは落ち着いて冷静に対処
身内が危篤になったときは、まず心を落ち着かせて、冷静に対処しましょう。万が一のことを考え、危篤を知らせてください。その際の連絡は3親等の家族・親せきが目安。また親しい友人などにも知らせましょう。
連絡の手段は、メールやSNSではなく電話で行いましょう。重要な連絡なので、深夜や早朝であってもかまいません。ただし、たくさんの人に連絡してしまうと、病室に人が押しかけてしまうといったことにもなりかねません。危篤の連絡をする相手は、十分に選んでください。
故人が、事前にエンディングノートなどに身のふり方や連絡先を記載している場合は、故人の意思に従います。なお、故人がキリスト教徒の場合は、神父や牧師が臨終に立ち会うので、この段階で連絡をしてください。
こうした準備を整え終わったら、臨終に備え、清潔な衣装や病院の精算のための現金の用意などを行います。
[図表1]臨終から葬儀までの一般的な流れ 出所:『2025年版[図解]身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より抜粋
葬儀までの流れを把握して手分けして手続きを
臨終後に行う手続きは、故人が亡くなった場所で異なります。病院で亡くなった場合は、医師が死因を確認後に死亡診断書を作成し、看護師が遺体を清めて処置してくれます。自宅で亡くなった際に、かかりつけ医などが最期を看とった場合は、医師により死亡診断書が発行されます。
自宅で亡くなった場合でも、医師が最期を看とれなかった場合は、まず警察に連絡しましょう。警察による現場確認のあと、遺体は警察の霊安室に運ばれ、あわせて事件性がないかの確認が行われます。亡くなった状況によっては行政解剖が行われることもあります。
大切な身内の死の悲しみに暮れる間もなく、亡くなってから葬儀までは多くの手続きが必要になります。大きな悲しみのなかで、それらを遺族が1人で行うのは心身ともに大きな負担がかかります。
まずは、葬儀までのすべての流れを把握し、家族や親せき、友人たちで手続きの役割を分担しましょう。
[図表2]危篤の連絡をする範囲 出所:『2025年版[図解]身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より抜粋
死亡届と死亡診断書は“7日以内”
身内が亡くなった際に、医師(もしくは歯科医)によってつくられる死亡診断書は、法律上の死亡を証明する書類です。自宅や病院で亡くなった場合は、医師が作成します。
しかし、事故などで亡くなった場合は、警察が遺体を検案して、死亡診断書ではなく死体検案書を作成します。この死体検案書を受け取ることができるのは3親等までの親族に限られていますが、委任状を用意すれば葬儀会社に代行してもらうこともできます。
死亡診断書と死体検案書は両方とも同じ効力をもつもので、その後の手続きでも使用できます。
死亡届はA3サイズで、左側が死亡届、右が死亡診断書となっています。法律では、死亡診断書の提出は身内が亡くなってから「速やかに」、死亡届は「7日以内」に提出する必要がありますが、両方がセットになっているため基本的には同時に提出します。
提出場所は、死亡地か故人の本籍地、届出人の住所地にある市区町村役所で、届出人には親族、同居人、家主、地主のほかに、後見人や家屋管理人などがなることができます。提出時には必要事項を記載します。押印は不要になりました。
死亡届の提出は、次の段階の手続きに欠かせませんので、故人の死後、速やかに行ってください。
[図表3]死亡届・死亡診断書 出所:『2025年版[図解]身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より抜粋
コピーを事前に5枚ほど用意し、原本も必要
死亡診断書と死亡届は、このあとの手続きで必要になってきます。万が一、紛失したり破損すると、再発行には煩雑な手続きが必要となるので、あらかじめ5枚ほどのコピーをとっておきましょう。
ただし、生命保険の支払い請求などには、コピーではなく、原本や正式な写しが必要となるので、あらかじめ必要な原本の数を確認しておき、病院で死亡診断書を複数枚作成・発行してもらうか、死亡届の正式な写しである「死亡届の記載事項証明書」の発行を請求しましょう。
なお、「死亡届の記載事項証明書」は、死亡届の提出場所と同じく、市区町村役所で請求できます。
[図表4]死亡届の書き方とポイント 出所:『2025年版[図解]身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社)より抜粋
曽根 恵子
株式会社夢相続 代表取締役
相続コーディネイター