五輪から帰還後…「仕事できていない」 パリ戦士の嘆き、崖っぷちの苦境下で「まだ足りない」
鳥栖のパリ五輪代表DF木村誠二、敗戦後に漏らした心境
サガン鳥栖は9月13日、J1リーグ第30節で川崎フロンターレと敵地で対戦し、2-3で敗れた。
2度追いつく粘りを見せたが、後半アディショナルタイム10分に勝ち越しを許す痛恨の敗北でリーグ戦4連敗。パリ五輪代表23歳DF木村誠二は「オリンピックから帰ってきてから仕事できていない」と反省を口にした。
試合は前半11分に、MF橘田健人のミドルシュートで川崎が先制。DF原田亘に当たり、ドライブ回転のかかったボールはGK朴一圭の頭上を越えてゴールネットを揺さぶった。
1-0のまま後半に入り、迎えた6分、鳥栖は右サイドのMF久保藤次郎が同点ゴールを決めた。しかし、同16分には相手の素早いリスタートに対応しきれずに失点。MF大島僚太からMF脇坂泰斗へつながり、最後はグラウンダーの折り返しをMF家長昭博が左足で蹴り込んだ。
鳥栖は後半終了間際にPKを獲得し、途中出場のMF清武弘嗣が決めて再び追いついたが、アディショナルタイム10分にFW山田新に3度目の勝ち越しゴールを許して万事休す。DFのクリアが山田の下へこぼれる不運な形から、川崎に劇的な勝利を献上する格好となった。
試合後、取材に応じた鳥栖のパリ五輪代表DF木村は「1点目はディフレクションも入って少し仕方ないと思いますけど(クイックリスタートから招いた2失点目は)ちょっと隙を突かれた」と話した。「守備の組織としての形作りは、ほんの少しだけ手応えは感じつつも、集中力の部分や全体のバランスというところはまだまだ足りないところ」とチームとして抱える課題を挙げた。
木村はこの夏のパリ五輪で3試合に出場するなど国際舞台で経験を積んだ。しかし、五輪後の自身のパフォーマンスについて聞かれると「帰ってきてから仕事できていない。失点につながったし、全然貢献できていない。チームに対して何かいい影響を与えられているかというとまだ」と反省を口にしていた。
試合後のミックスゾーンではパリでともに戦った川崎の20歳DF高井幸大と話し込む一幕も。その高井は9月のワールドカップアジア最終予選の中国戦で一足先にA代表デビューを飾った。
木村は「一緒にやった選手が上に行ってくれるとより(A代表が)身近に感じますし、あれくらいできればA代表に入れる可能性があるということ。本当にいい刺激を与えてくれる存在」と高井の活躍に触発されていた。「2個下ですけど、そんなことを感じさせない大物感がある。そのあたりのことは見習いつつ、僕の存在が刺激になっているかは分からないですけど、互いに高め合っていけたらいいなと思います」と話した。
鳥栖はリーグ戦4連敗で残留に向けて崖っぷちだが、木村はチームの守備を支えるDFとしてさらなる成長を誓っていた。(石川 遼 / Ryo Ishikawa)