『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『血液型&県民性の新常識』

『O型はケガに注意?血液型別の病気リスク』

血液型別の病気リスクについて講義を行ったのは、大阪大学副学長 大学院理学研究科・理学部教授の深瀬浩一氏。世間で占いなどに用いられる血液型で性格が分かれるといった言説は否定した上で、血液型の違いで病気のかかりやすさが違うと解説した。そもそも血液には、異物を排除する免疫機能として『抗体』が備わっており、体にとっての異物すなわち『抗原』が体内に入ってきた際に、それを排除しようと作用する。深瀬氏によれば、ウイルスによって結合しやすい抗原が異なるため、血液型の違いが病気のかかりやすさに影響を与えうると言えるそうだ。

さらに深瀬氏は、血液型によって血の固まりやすさが違うことにも言及。O型の人は、他の血液型の人と比べて血液凝固因子が約3割も少ないのだそうで、実際に交通事故などで救急救命センターに運ばれた場合の重症患者の死亡率は、O型が最も高いというデータが示された。

これらの内容を踏まえ、講義では血液型ごとで注意すべき病気を発表。免疫機能が弱いAB型は神経系の病気、血が固まりやすいB型は糖尿病、消化器系の病気を起こすウイルスと結合しやすいO型は胃潰瘍とノロウイルス、日本人で最も多いA型は心筋梗塞と脳梗塞の発症リスクが他の血液型と比べて高いという。

ただし、ウイルスは人へ感染するあいだに抗原を変化させることもあるうえ、体質などの個人差によって病気の発症リスクが変化することにも注意が必要だという。

大阪大学 理事・副学長
大阪大学大学院理学研究科・理学部 教授
深瀬浩一

『太りやすさには地域差がある!?最新ゲノム解析で判明した県民性』

地域によって遺伝子レベルの体質の違いが表れることを示したのは、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授、太田博樹氏。現在の日本人が誕生するまでの、壮大な歴史を解説した。まず太田氏は、都道府県別のお酒の強い人の割合や肥満率の違いを紹介。それぞれの地域によって、その数値に差が生じており、この差異の要因は、日本列島へ流入してきた我々の祖先にあるという。大陸と陸続きだった時代に列島へ移動してきた縄文人が、後に海から渡ってきた人々と交雑していくなかで、縄文人由来の遺伝的変異をどの程度持つかによって地域差が生まれたそうだ。

たとえば、お酒が弱い遺伝子変異は、世界的に見ても揚子江下流域に集中しており、関西や中国地方にお酒が弱い人が多いのは、この地域に大陸から多くの人が移り住んできたことと関連している可能性があるのだとか。その他、狩猟生活の中で限られた摂取カロリーをため込む必要のあった縄文人の遺伝的性質を受け継ぐ地域では、肥満率が高いというデータもあるのだそう。

太田氏は一連の研究の将来性を、個人が持つ遺伝子のタイプに合わせた治療法や投薬の確立に役立てられると展望。また、歴史的事情によって個々人の体質傾向に差があるということを、マイナスに捉えないでほしいとも補足した。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授
太田博樹