女子小学生の洋服がどんどんシンプルで大人っぽくなっている…「キャラクター」や「ロゴ」が消えた「納得の理由」

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憧れだったナルミヤのキャラクターたち

『エンジェルブルー』のナカムラくん、『デイジーラバーズ』のルッキー、『メゾ ピアノ ジュニア』のベリエちゃん、『ポンポネット ジュニア』のミントくん。20〜30代の多くの人が懐かしく思い返すであろうこれらのキャラクターは、子供服大手『ナルミヤ・インターナショナル』(以下、ナルミヤ)がブランドのモチーフとしていたものだ。キラキラのスパンコールやビジューで彩られたキャラクターTシャツやトレーナーに憧れの眼差しを向けていた、という方も多いのではないのだろうか。

昨今のY2Kブームの影響もあり、いまこの『ナルミヤキャラクターズ』たちが再び注目を集めている。昨年12月に4キャラクターのリバイバルアイテムたちが発売されると、SNSを中心にたちまち話題に。好評を受けて、今年6月には第2弾のアイテムが発売された。

いまの女子小学生の洋服に起きている変化

“カラフルでキラキラだった、あの頃の子ども服”にノスタルジックな思いを掻き立てられる大人が増えている一方で、現役の女子小学生たちが着ている洋服は一転して、カジュアルでシンプルなものになっている。ナルミヤのECサイトを見ても、それは一目瞭然だ。キャラクターの姿はほとんど見られず、無地・抑えめな色使いのトレンド感のあるアイテムが『メゾ ピアノ ジュニア』でも『ポンポネット ジュニア』でも中心に取り揃えられている。一見すると子ども服とは分からず、女性服ブランドで扱われていても違和感のないアイテムたちである。

「キャラクターアイテムの最盛期は2003年から2004年ごろで、2012年くらいを境に徐々に展開が少なくなっていきました」とお話しくださったのは、現在『メゾピアノ ジュニア』で企画を担当し、キャラクタープロデューサーも務めていらっしゃる漆畑祐樹さん。特に大きな転換点となったのは、2008年にH&M、 2009年にFOREVER21といったブランドが日本に上陸し、ファストファッションが台頭していったことだ。

大人服と子供服の境界が曖昧に

「デザインや価格においても、子ども服の概念が大きく変わった印象があります。子ども服と大人服の境界が徐々に曖昧になり始めたのも、そのころからです」(漆畑さん)

140〜160サイズを着るような小4〜6の子どもであれば、ファストファッションブランドのXSサイズの洋服を着用できる。「女子小学生が着る洋服といえば、カラフルでキラキラ」という従来のイメージがだんだんと当てはまらなくなってきたのだ。『エンジェルブルー』と『デイジーラバーズ』は2010年秋冬を最後に、百貨店から撤退をしている。

「リラックマ(サンエックス)の人気に見られるように、クマのキャラクターには依然として根強い人気がありました。そのため、『ポンポネット ジュニア』のミントくんと『メゾ ピアノ ジュニア』のコロンちゃんのアイテムは少し残していましたが、ベリエちゃんを使用したアイテムは次第に展開を少なくしていきました。 また、子どもたちもキャラクターが大きくあしらわれたアイテムを好まなくなっていきました。2012年ごろのナチュラルブームの影響もあり、キャラクターを使用する際も『控えめ・小さめ』なデザインに変わっていったのです」(漆畑さん)

よりシンプルなデザインへ

このあたりから、大人服のトレンドを敏感に取り入れた子ども服が増えた。ナルミヤでもデザインを考えるにあたって、世間で流行しているテイストを取り入れるようになったという。

「2014年ごろにノームコアが流行し始めると、子ども服でもロゴや派手な装飾が施されたものがあまり好まれなくなっていきました。その影響で、『メゾ ピアノ ジュニア』や『ポンポネット ジュニア』でもロゴの使用頻度が減り、よりシンプルなデザインへと変化していきました」(漆畑さん)

女子小学生も「推し活」

「撮影などで会う小学生モデルもZARAH&Mのアイテムを使った大人っぽい私服を着ている子が多い」と話すのは、同社でPRを担当している渡邊理紗さん。

「地方から撮影のために親御さんと東京に来ている子が『推しのライブに行くのが楽しみです』と言っているのを聞くと、遊び方も変わってきているんだろうな、と感じます。TikTokやYouTubeで日々トレンドに触れているので、趣味趣向も10代後半や20代の子とそれほど変わらず、大人っぽい子が多いですね」(渡邊さん)

いま、洋服を作るにあたって参考にしているのはルミネや109などに入っている若い女性向けのブランドのアイテムや、K-POPアイドルのスタイリングなどだという。

「サイドにラインが入ったパンツや、ショート丈のトップスといった、韓国アイドル風のスポーティーなテイストの洋服は、小学生に人気がありますね。ただ韓国のファッショントレンドの変化も激しく常にチェックを怠らないようにしております」(漆畑さん)

記事後編は【キャラもの女児服をやめた「ナルミヤ」が、「キャラクターの価値」を再発見した「新入社員の何気ない行動」】から。

(写真はすべて同社提供)

キャラもの女児服をやめた「ナルミヤ」が、「キャラクターの価値」を再発見した「新入社員の何気ない行動」