初心者が“買ってはいけない”ビルの特徴。「テナントがつかない」「売るときに困る」
融資が付きづらいということは、不動産価格も伸びづらく、結果として売りづらい物件になってしまうため、投資全体としてもネガティブに働く可能性が極めて高くなるわけです。
ただ、そのようなビルも投資対象として避けるべきということではありません。あくまで初心者がいちばん最初に着手するべきものではない、という捉え方が正しいと言えます。
当社でも、神田駅前に飲食店や雀荘、マッサージ屋、ガールズバーが入居するビルの管理・運営を行っていますが、そのビルを扱おうと決めたのは、駅近という立地の割には購入費用がものすごく安かったからです。
いわゆる水商売系のテナントが入居しているために、割安になっていたわけですが、中長期的に物件を所有する前提であれば、こうしたビルも狙い目だと思います。ただし、不動産投資に慣れてきてから取り組むのがいいのではないでしょうか。
また、「不動産投資はスモールスタート」という鉄則も抑えておく必要があります。仮にワンショットで5〜10億のビルを購入できる場合でも、初めは1〜2億のワンフロアから運用してみて、それを売却するまでの一連の流れを理解することも重要です。そうすることで、不動産投資の実績を肌で感じられ、正しい判断ができるようになるからです。
不動産投資でやってはいけないことといえば、よくあるのは、業者の言いなりになってしまい、ずっと物件を買い続けてしまうことです。さらに、いざ物件を売りたいと業者に相談しても、売ってくれないケースも見受けられます。
こうなると、せっかくの所有物件が不良債権になってしまうわけですね。
「売らせてもらえない」がどうして起きるかと言うと、不動産業者のほとんどが自社の儲けを追求するために、自社物件として不動産を所有し、利益を上乗せして売買しているからです。
仲介以外の買取り転売をメインにやっている会社の粗利は大体30%くらいなので、自社で売れば粗利分が儲けになります。
例を挙げると、2億の自社物件とオーナーから依頼された2億の物件を売却する際に、会社の経営判断として営業社員に指示するのは言わずもがな、利益率の高い自社物件。なので、オーナーの物件は後回しにされ、売らせてもらえないという状況が起きてしまうのです。
そうならないように、初心者は自社物件をメインに扱っている会社を選び、不動産の購入から売却まで全うしてくれるかどうかを見るといいでしょう。
<構成・文/古田島大介>
―[東京にビルを持とう。/青木龍]―
【青木龍】
株式会社Agnostri(アグノストリ)代表取締役社長。1989年、東京都出身。小学校から高校1年まで野球を続け、厳しい監督に鍛え上げられる。22歳で事業系不動産に特化した不動産売買の会社に就職。中小企業の経営者をターゲットに、ビル売買の営業開拓を実施。その後大阪支店・名古屋支店の立ち上げに携わる。最終的に東京で課長職に就任。会社員時代は1人で50億円を販売しトップセールスに。2018年に独立し、東京都千代田区にアグノストリを設立。会社設立後、年間100億円ほどの売買を締結。著書に『2%の人しか知らない、3億円儲かるビル投資術』(ぱる出版)、『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)がある。X(旧Twitter):@agnostri_aoki