アラン・ドロンと京都の名妓 祇園町に語り継がれたおとぎ話のような美男美女物語
フランスの人気俳優アラン・ドロンさんの死去が2024年8月18日に伝えられたが、ドロンさんはたびたび来日、京都祇園では若いころの隠れたエピソードが語られていた。
「番組のあいだ、ドロンさんはずーっと...」
ドロンさんは来日するとテレビにも出演していたが、その一つ、日本テレビ系の「11PM」に出演した時の話だ。大阪読売テレビの制作で司会は作家の藤本義一さん。この日のゲストはアラン・ドロンと勝新太郎、そこに祇園の舞妓さんが二人加わった。
舞妓さんは当時の売れっ子のK子さんとI子さん。この話はI子さんが経営する祇園の店でなじみの客にI子さんが語っていたエピソードだ。この店は祇園で最初にお座敷をスナックにした店として知られる。作家の川端康成、松本清張、渡辺淳一らがひいきにした店だった。渡辺淳一の小説のモデルともなっている。
「番組のあいだ、ドロンさんはずーっと、K子さんをうっとりと見つめてはりました。話が進みませんのや。そいで、勝さんが気を使って、翌日祇園のお茶屋さんに招かはりました」
お座敷では「ドロンさんはK子さんの手を両手で挟んだまま、うっとりと眺めてはる。えらい惚れようどした」という。
K子さんはお人形のような整った顔立ちで、着物姿の彼女の存在にアラン・ドロンは参ってしまったようだという。
それで二人になにかあったというわけではないが、フランスの美男子と京都の美女のおとぎ話のようなエピソードとして語り継がれてきた。
で、そのK子さんだが、10年ほど前に亡くなっていた。一人暮らしの孤独死だった。新聞が何日分も郵便受けに入っていたという。