「少しは誇りに感じてくれたら」性的暴行後の五輪参戦で物議の蘭ビーチバレー選手が母国で再起 一方で批判は尽きず

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母国での欧州選手権で再起を果たしたファン・デベルデ。(C)Getty Images

 五輪参加で世界的な反発を受け、大ブーイングを浴びたオランダ代表戦士は、再起の道を歩もうとしている。

 パリ五輪・男子ビーチバレー代表だったスティーブン・ファン・デベルデは、現地時間8月18日にオランダで行われた欧州選手権にマシュー・イマーズと共にペアで出場。イタリア人ペアを破って銅メダルを獲得した。

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 先に行われたパリ五輪に参加していたファン・デベルデ。しかし、2014年にFacebookを通じて知り合った当時12歳の英国人少女に対して性的暴行に及び逮捕、その後に1年間の服役をしていた背景から彼の五輪参加ひいては競技復帰を疑問視する声が噴出。大会期間中は会場で辛辣な野次とブーイングを浴びる事態となっていた。

 実際、ファン・デベルデの活躍を今も疑問視する識者は後を絶たない。とりわけ被害少女の母国となった英国では反発の声は多い。英紙『The Independent』のジェマ・アボット記者は「児童に対する性加害の犯罪歴があるオランダ人をオリンピックに出場させるのは恥ずべきことだった」と糾弾。「本質的に彼の犯した犯罪の事実を歴史の中に葬り、それがなかったことにするつもりである。『一体、誰が誠実さの欠如など気にするだろうか? 我々に必要なのは金メダルだけ』ということだろう」と厳しい批判を展開している。

 今も批判が絶えない状況ではある。それでも欧州選手権に出場したファン・デベルデは、オランダの日刊紙『Telegraaf』で「本当に楽しかった」と総括。「このビーチで、僕は少年時代にビーチバレーを始めたんだ。今週は何度かそのことが頭をよぎった。でも、雰囲気を楽しみながらできたよ。もちろんかなりタフな場面もあったけど、観客の声援に支えられ、常に戦い続けることができた」とポジティブに語っている。

 さらに「世界中の観客が僕らのことを少しは誇りに感じてくれたら嬉しい。この大会でパリでのことは封印されたよ。僕らは今、美しく、新しい思い出を持っている。ここからまた前進していくさ」と論じたファン・デベルデ。パリでの苦闘はもう過去とした彼は、過ちと向き合いながら自身の将来を見据えている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]